本日からゲノム編集食品の販売が解禁されます

本日は消費税増税、幼保無償化など暮らしに影響ある数々の新施策がスタートします。ゲノム編集食品の販売解禁も本日。
解禁に先駆けての9月28日、地域協議会という生活クラブ生協の関係団体による「何が問題?ゲノム編集食品」学習会が開かれました。
ゲノム編集は先週NHKクローズアップ現代でも取り上げられていたようですが
( https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4331/index.html )
「よく分からない」というのが概ねの反応ではないでしょうか。

学習会では、
①ゲノム編集と遺伝子組み換えの違い
②政府での検討内容
③現在事業体として唯一ゲノム編集に対してNO!を表明しアクションしている生活クラブのこれまでの取り組みや今後の対策
などについてお話伺えました。

①について:

まず、遺伝子全体をゲノムというそうです。

遺伝子組み換えとゲノム編集の大きな違いは、その精度と開発費用。

遺伝子組み換えは、成功率が1万分の1回程度。うまくいったものを選別し、細胞培養して組み換え食品が作られるそうです。

しかし、ゲノム編集の成功率は2-3回に1回程度の高さ。

また、遺伝子組み換えは開発費用が数十億円以上と高価で大企業が特許独占状態にあるのに比べ、ゲノム編集は研究機関やベンチャーの参画が可能となる価格帯(数十~数百万円程度)。しかも、家庭でも簡単にできる難易度のゲノム編集商品が、通販で入手しやすい状態にあるようです。

現在すでにゲノム編集研究が進められており、例えばイネは、茨木県つくば市の取り組みが有名。単価下がり外食産業が喜ぶようなイネが開発進められているそうです。

その他にも、筋肉隆々で食べれる部分が増える結果安価になるだろう真鯛(ダブルマッスルマダイ)は、京大・近大が研究。他所でも、芽が出ても安心なジャガイモ、白いままのマッシュルーム他、開発中。

しかし、現在養殖されているダブルマッスルマダイは、もしも海に流れ出れば生殖上通常の真鯛よりも優位になってしまうリスクがある。

また、ジャガイモは外食加工産業にとっては、芽の部分のロスが多いため需要が見込まれるものの、本来芽はジャガイモにとって自分を防衛する力となる部分。

マッシュルームの茶色い部分は抗酸化物質であるポリフェノールであり、栄養価が高いようです。

市場における優位性の確保、収穫量などの利便性や提供価格を重視して、これまでずっと続いてきた動植物の営みを断ち切る技術を適用した食品開発には、遺伝子組み換えに対するのと同様、私は素朴に疑問を感じます。

遺伝子組み換えについて、かつてみた映画「モンサントの不自然な食べもの」(https://www.uplink.co.jp/monsanto/about.php )

や「遺伝子組み換えルーレット」( http://www.geneticroulette.net/ )

の状況も想い出されます。

②について:

ゲノム編集に対する政府の対応は、遺伝子組み換え食品規制をすり抜けるもの。

公の場の議論については、2016年は「慎重に検討」とされていたにも関わらず、2018年には「取り扱いの早期の明確化」を明示。アメリカへの追随が背景にあるようです。

その後、2018年8月に環境影響評価の検討会2回、2018年9~12月に食品安全性評価調査会4回の速さで検討が進められました。
ゲノム編集では、現在ノックアウト(特定DNAを欠損あるいは点変異させ、その発現を停止)とノックイン(編集技術をもっての遺伝子組み換え)という2つの編集法があるそうです。
ノックインについては、カルタヘナ法(環境影響)、食品衛生法(食品安全)、食品表示法いずれも遺伝子組み換えと同等の規制の対象となります。
しかし、現状は、ノックインではなく、安く手間もかからないノックアウト技術の開発が進んでいるそう。ノックアウトについては突然変異と同じ扱いでカルタヘナ法(環境影響)、食品衛生法(食品安全)、食品表示法はいずれも無規制ですべて自主的な情報提供を求めるのみ。

動植物界では、体格差等が繁殖に優位に働き、ゲノム編集生物が自然繁殖していく環境影響が心配される。また、食品安全リスクについては、タンパク変性リスクなるものがあるそうです。技術的にも、未解明の部分があり、予防原則の観点から考えるとやはりリスクを免れない可能性がある。
別に、今後、輸入作物・食品、倫理感ない事業者の動きや、表示義務化が見送り化されたことで消費者が選択権を行使できるかの心配もあるとのこと。

③について:

現在事業者でゲノム編集NO!を表明しているのは生活クラブのみ。
2018年のプレスリリースでは、食料の安全性、生物多様性、種子の独占、規制管理ルールがないことへの懸念を表明しその対策として、予防原則を基本とすること、作出された生物の情報開示と登録、商業栽培(飼育)を想定し、消費者の選択権を担保するトレーサビリティ流通と表示制度の確立の提案運動の準備をスタートしました。
また、アメリカ農務省宛含め各種パブコメをだし、今夏の国政選挙の際にはすべての政党に対して政策提案、回答はサイトに公開。https://www.seikatsuclub.coop/saninsen2019/

消費者の目線と購買行為が市場の今後の動きを左右するとし、ウオッチを続けてゆくそうです。

東京大学の研究チームが昨年実施したインターネット調査では、約1万人のうちゲノム編集技術を知っているのは半数以下。43%がゲノム編集された農作物を「食べたくない」と答え、「食べたい」の9.3%を大きく上回っています。しかし、現状、ゲノム編集食品は国へ届け出なくても罰則はなく、食品表示の義務化も見送られ、いまの状態では今後区別がつかないまま市場に流通します。

まず、ゲノム編集とは何か、またその技術を自分がどう捉えるか判断するに足るプラス、マイナス双方からの情報提供を求めたいです。

ゲノム編集技術の食品への応用の結果救われる層があるのかもしれませんが、
私はいまある生物に対して繁殖上優位となるかもしれないリスク、健康被害のリスクも不透明で、
かつ、消費者に対してしっかりした事前の情報提供、規制・表示義務ないままの流通には反対です。

各人の判断がなされ結果何かしらのアクションが必要と思われた場合、例えば現在生活クラブでは、ゲノム編集食品の規制と表示を求める請願署名をしています。
https://saitama.seikatsuclub.coop/news/detail.html?nid=1000002238


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