幸せに生きていく力をつけるための昭島での豊かな学びの実践:教科横断型学習・自由進度型学習・プロジェクト型学習・プレーパーク
令和4・5年度昭島市教育委員会研究指定校は光華小学校です。
先週その研究発表と学校公開があり見学させて頂きました。
これからAIや、ChaptGPTの活用も見込まれ予測困難な時代に向かっていることは確実であり、
がらりと変わるに違いないこれからの社会をひっぱっていく役目を担わざるをえない子どもたち。
そんな子どもたちに対し学校においては、どのような学び・体験を経て
子どもたちが幸せに生きていくための力をつけられるかをまず考えた上で、
子どもたちが楽しみながら主体的に学びに関わるための様々な試行錯誤が今回なされていました。
研究主題は「子供も教師も楽しめる学びの創造~光華遊学で遊ぶように学ぶ~」。
遊学を実現するために光華小関係者が熟考した3つの視点は、
・楽しくなる:競争、偶然、模倣、感覚、収集、創造
・自由になる:自己決定、教材選択、学習方法、学習量
・主人公になる:身近な課題、子供が望む課題、必要感がある課題、振り返り
です。
子どもは元々有能な存在であり、この視点を駆使していかに学びに落とし込めるかが鍵になると
生活科・総合的な学習の時間を中心として展開されたそれぞれの実践について、順を追ってお伝えします。
◆低学年:教科横断型学習
インパクトがあったのは、12月までレンタルしたヤギ3頭のお世話をするなかでの教科横断型学習です。
ふんを数える作業で算数の単元に対応したり、
ふんの状態で健康度のチェックをしたり子どもたちが興味をもって生きた学び・探求をしていました。
17日研究発表の際には、クラスでの授業でした。
子どもたちが協働作業をするなかで、先生がファシリテーターとして楽しさ・好奇心をひきだす授業にただ圧倒され感動しました。
続く18日、学校公開の際には、校庭での授業。
子どもたちがそれぞれの学びを参観者にどんどんアウトプットしてくれました。
これまで子どもたちがいかに好奇心をもって、意欲的に主体的に学びを深めたかが手にとるように分かりました。
◆中学年:自由進度型学習
3年生は国語と理科、
4年生は理科と社会について、
定められた時間数のなかで自ら課題を選び、学習計画をたて、廊下に用意された様々なペーパー・タブレット等資源をいかし、ときに周りのお子さん方で話し合い協働する場面ももちながら学習を進めていました。
コロナ禍の休校中、多くの家庭が陥ったのは、
「学びを与えられないと毎日何をしてよいのかわからない」という事態。
休校が長引くなかで、学校は課題を準備し、どのように1日1日を過ごすかの道標を示す対応をしてくださいましたが、与えられる一斉教育では自ら学習の組み立てすらできない課題を実感しました。
この自由進度学習は、子どもに学びの裁量を与えることで、自分にとって必要な学びを自ら考える・学びが自分のものになる絶好の機会になります。
聞くだけの受け身な授業ではなく、非常に能動的な姿勢が求められます。
気が抜けないでしょうが、生きていく上で必要な力ですね。
◆高学年:プロジェクト型(探求型)学習
ドイツミュンヘンを発祥とする「こどものまち」。
国内でも、自治体、市民団体等様々な主催形式でこどものまちを実践する取り組みがありますが、
光華小学校においてもこのこどものまちづくりに高学年が挑戦しました。
市長選を実施。
市役所(観光課、建設課、相談窓口)、ハローワーク、銀行、お店(子どもたち自身も地元農家さんとの交渉に関わった上での本物のお野菜の販売をする八百屋、クラフト工作を販売お店等々)、ステージ(プロの落語家や子どもがダンサーとなっての芸の披露)、校舎内では子どもたち自ら監督・役者となり撮影した映画作品の上映など。
子どもたちの豊かな発想と自主的な運営でワクワクするとても素敵なまちが出来上がっていました!
子どもたちの表情も自信に満ちて活き活きとしていましたが、このような姿・子どもたちの持つ力をみられたことが、また感動でした。
◆プレーパーク(冒険遊び場)
様々な学びの試行と別に、東京都子供の遊び推進プロジェクトに採択され、校庭の一角にできあがったプレーパークが先週地域に開放されていました。
土山ができており、そのエリアで夢中になって泥遊びをする子どもたち。
モンキーブレッジで飛び跳ねる子どもたち。
保護者が元プレーリーダーの先生に指導頂きながらつくったハンモックのなかで嬉しそうに揺れる子どもたち。
ファイヤーピットで火を身近に感じる体験をしている子どもたち。
保護者・子どもが専門家の協力も得ながら2日間かけてつくったらしいすべり台。
その他、置かれた木材で自由に遊んだり、ベーゴマで遊ぶお子さんなど、おもいおもいに夢中になって遊ぶ子どもたちの様子がみれました。
子どもにとって遊びは生きることそのもの。
与えられる遊びではなく、子どもが自ら工夫しながら遊びの主体者となっている様子がみてとれました。
いま必要とされる非認知能力をつけることにも繋がり、非常に価値ある取り組みですが、
地域開放している間、学外の保護者とおはなしをすると皆さん口を揃えて「羨ましい」とおっしゃっていました。
今回、子どもの幸せとそのために必要な学びについていちから考えなおし
果敢に様々な挑戦をしてくれた光華小学校。
そのどの実践も国の目指す学びの姿と合致します。
研究発表会の講評をしてくださった東京学芸大学副学長教授 松田恵示先生は、
日本代表としてOECDと教育施策についてやりとりをし、
日本の学習指導要領の改訂にも関わる教育界の重鎮でいらっしゃいますが、
光華小学校での学びの実践をこれからの時代に必要なものと評価なさっていました。
昭島でこのような実践をしてくださった先生方のご努力に敬意を表します。
また、昭島市教育委員会には、この取り組みの継続と、市内他校でも取り組む後押しをして頂けるよう、
仕組み作りの部分でご尽力頂くことおおいに期待します。