9市による広域連携サミット2024「人口構造の変化に対応する広域連携」
一昨日、9市(昭島市、小平市、日野市、国分寺市、国立市、福生市、東大和市、武蔵村山市、立川市)による
広域連携サミット2024を傍聴しました。
冒頭にファリシテーターの中央大学名誉教授 細野 助博さんからプレゼンテーション。
9市人口は計約100万。
都心の人口にもかげりがでて、都心企業は外国人材の奪い合いになっているなかで
多摩においては、玉川上水はじめとする魅力をどのようにひろめていくのか、
人、モノ、カネ、情報をどのように連携するかという問題提起と
論点整理がありました。
◆それを受けて、各市から現状説明がありました。
○立川市
2025年、2040年問題と高齢化が加速し、働き手不足がますます課題に。
2023年都の合計特殊出生率も0.99であり、地域活力を減退させる。
給食費無償化、未就学児の国保無償化、不妊治療の補助等
安心して産み育てられる子育て支援策が急務である。
多子社会にも意をもって取り組む。
○昭島市
温暖化が進むなかで持続可能な地域社会をつくる必要があるが、
国のデジタル化推進のもと各地に建設されるデータセンターの膨大なCO2排出量は将来世代への影響も大きく、
都や国が一体となって議論すべき。
また、市内では大型マンション建設予定に伴い、学校・保育園対応等考慮する必要があるなかで
物流センター建設計画にも危機感をもっている。
9市全体、都あるいは国で考えていくべきと問題提起したい。
○小平市
職員の人材不足の課題があるが、
男性の育児休暇取得を職員にすすめながら働き方改革を推進。
公共施設マネジメントの取り組みとしては
小学校に地域センターや公民館を併設し、
地域交流の核として新しい地域コミュニティをつくる。
複合化に加え、9市で連携して公共施設を利活用できないか。
○日野市
今後人口減が見込まれる中で、自治体職員の人手不足を懸念。
市民サービス低下しないよう、AI・デジタル化をすすめながら、
高齢者の労働参加、社会参加の拡大が必要。
本年子ども包括支援センターを開設し、
子どもオンブズパーソンを設置、子どもの権利侵害に取り組む。
引き続き重層的支援を実施。
地球沸騰化時代において、
日野市では2050年カーボンニュートラルを掲げ
気候非常事態宣言をだした。
未来に良い環境を残す取り組みが必要。
○国分寺市
高齢化が進むなかで、フルセット型の行政サービスではなく、
最適化されたスマートシティを目指す必要がある。
また、公共施設の老朽化が課題。
広域連携のなかで相互利用や再配置を検討するなど
9市のスマートシティ化をはかり、人口変化にしなやかに対応したい。
○国立市
固定資産税の上昇率が高く、子育て世代が転入しづらい特徴があるなかで、
教育、福祉環境など圏域で取り組めないか。
2025年、2040年問題があるが、市内学校の介護福祉科では
入学者のほとんどが東南アジアの方。
海外の人に頼らざるをえないような状況が生じているが、
どのように高齢社会を支え、どう人材育成を支えるのか。
○福生市
70カ国の外国人が住み、外国比率8%。
役所では100カ国対応をし、
保育園児が保育士と親の通訳をする状況があるが、
これはどこの自治体でも今後起きる可能性があるのではないか。
外国人と共存しなければならない状況のなかで、
川口市、蕨市、新宿区、足立区の首長と意見交換。
○東大和市
2060年までにかけて、とくに生産年齢人口が大幅に減ることで市税収入も減る。
人材流動化で、優秀な人材は他市あるいは海外にまでいくのではないか。
従来の取り組みではたちうちできない。
施設が老朽化し、
学校中心に建て替えの必要があるが、
財政面の心配と人口減にどう対応するか。
未来志向で課題に向き合い今までの常識にとらわれず施策をすすめる必要があるが、
現状では、職員の人材育成で民間の経営感覚を身につける研修をしたり、
学校教育において英会話に力を入れている。
○武蔵村山市
35歳以下の若年層を地域につなぎとめる工夫が必要であるが、
結婚や出産への考えは10人10色。
行政としてどうアプローチするか、環境づくりをしている。
公共施設の老朽化、
人口減に伴う財制減で、
フルスペックでの住民サービスの提供が困難になるなかで、
広域連携で持続可能なまちづくりを模索、シェアリングしたい。
◆上記を受け、細野さんからは、子育て支援と、DX時代で電力を膨大に使うなかで環境保全について
みなで都知事にかけあう状況かと一旦とりまとめをした上で、
改めて各市からの広域連携への提言がありました。
○立川市
・9市の魅力を共有し圏域外に伝えるシティプロモーション。
・奪い合うのではなく生み出す。
人生設計のサポートをし不安軽減するための20-30代へのライフデザインセミナーの実施。
・データセンターについては巨大電力と排熱は立川市議会でも議論されており、地域全体の課題である。
問題意識を分かち合い解決する必要があるが、子どもむけの環境学習など探求学習に令和7年2月取り組む。
○昭島市
・CO2排出削減については、国でも2050年目標があるなかで、歯止めになる法規制の働きかけに協力を。
・人材確保については、合同で職員採用説明会を実施したが、そちらの継続をし、さらに連携をひろめる。
・公共施設についての連携も視野にいれる。
○小平市
・公共施設マネジメントについて、どう集約や立て替えにあたるか。
・観光については、シェアサイクルで事業実施できたことは成果。
○日野市
・結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目ない支援。
・多様な主体と連携しくらしやすいまちづくりをする。
・社会資源(児童センターなど)の共同利用や、単一自治体での取り組みが難しい働く環境整備で連携できないか。
・若者中心に個人の不安を軽減する必要がある。
令和7年1月にライフデザインセミナーを開催予定だが、それを通じ、不安解消とウェルビーイングにつなげる。
・データセンターは日野市でも大問題。
必要なインフラだが、排熱や膨大な電力の問題については真剣に考える。
○国分寺市
・公共施設の維持管理費や、フルセット型の行政サービスの単独市での提供が課題。
・公共施設が複合多機能化するなかで、多世代交流等で地域振興をはかりたいが、
ここに広域連携の可能性があるのではないか。
公共施設は、市域でみず、市境などは生活圏域でみて相互利用の範囲を拡大する。
多様な交流機会を拡大し、圏域以外にも魅力を伝える。
公民連携も広域サミットで考えていく。
・その他、ごみの焼却の負担や給食センター単独維持管理が難しい問題などある。
○国立市
・国分寺市とすでに行政サービスの連携をしている部分がある。
国立市では新規で子育て施設をつくる予定だが、こちらも国分寺市西町が近い。
身近なところで連携を積み上げるとやりやすいのではないか。
・地域の一人ひとりが自分らしく過ごし、誇りをもつ。
肉体的、社会的等満足している状態のウェルビーイングを軸にした連携はできないか。
・ウオーカブルな健康ポイントで連携ができないか。
・SUUMOの住みたいまち一位は谷保。
一橋の学生が地域に入り新たな商業環境をつくり、それをアーツカウンシルがバックアップ。
これを広域的に連携し、発信できないか。
・様々な産業や大学があり人材育成することが、まちのWELFARE。
とくに人材面でいかし、企業集積につなげ、圏域をもりあげていけるか。
・行政が人材と企業を結びつけることはできないか。
○福生市
・シェアサイクルを通じた観光連携を2024年時点では8市で実施(昭島だけはいっていない)。
目的は、利用者が自らの足で市の魅力をみる。
・施設の老朽化については、9市連携で立派なものを建てたい。
各自治体のこじんまりとした施設ではなく、人をよべるもの。
あるいは、日野市が苦労する病院など。
○東大和市
・連携にあたっては、スケールメリットをこれまで以上に意識し、
また、頭のどこかに連携をおき行政運営をする。
・このエリアに対し、外からどのようなイメージをもってもらえるか。
転入したい、訪れたいというこのエリアのブランディングを。
・自然災害時の行政区関係ない連携が必要ではないか。
民間との連携でも重複しているところがあるのではないか。
多摩は災害に強い、災害時の安全安心を打ち出す。
○武蔵村山市
・シティプロモーションの推進については、地域全体の魅力発信やシビックプライドの醸成。
◆最後に事務局がまとめた共同文書は、以下写真の通りです。
2024/2025年が重点取り組み期間で、次回サミット開催は2026年。
今回のサミットの映像は、立川市公式HPから後日配信されるとのこと。
各自治体の取り組みや課題、共通認識を確認でき、有意義なサミットでした。
なお、昭島市から、データセンターの環境負荷について連携して都や国へ働きかけるべきと提言があったことは
9月議会の決算審査に関する討論の主張と一致しており嬉しく受け止めました。
【討論】2024年9月(一般会計歳入歳出決算認定):GLP昭島プロジェクト他について | 林まい子
温暖化対策は単一自治体で完結する問題ではありません。
各自治体で連携しながら、次世代に安心して手渡せる地球環境保全を目指して頂きたい。