GLP昭島プロジェクト:都市内緑地のクールアイランド効果と昭島GLPによる気温上昇予測
昨日は、東京都立大の三上岳彦先生による「都市内緑地のクールアイランド効果と昭島GLPによる気温上昇予測」の
講演に参加。
◆樹木のヒートアイランド緩和効果
樹冠があると日陰ができ、葉からは水分が蒸発する蒸散効果もあり
その効果は非常に大きい。
例えば、サーモカメラで表面温度を測定すると、アスファルトは約50度、日陰は約30度と
約20度の差が生じる。(しかし、私たちが感じるのは約1.5メートル高さの気温のため、
表面温度よりその高さの気温の実測が重要。)
ニューヨーク、中国、ヨーロッパなどの世界各地では、緑地を維持あるいは増やす施策がとられているが、
地球平均気温の経年変化やニューヨークなど他都市の上がり幅と比べると
東京は気温上昇が非常に大きい。
◆都市部の緑地
サーモカメラで撮影した熱画像で新宿御苑や明治神宮をみると
規模の大きい緑地(クールアイランド)、街路樹(クールゾーン)やクールスポットがあることで
表面温度が下がることが視覚的に示されている。
GLP予定地は新宿御苑とほぼ同面積であり、御苑での実測を適応できるのではないかと
2000年に環境省も協力して行われた御苑の大規模調査の事例をおはなしくださいました。
気温を自動測定する温度計を設置し温度観測をし、超音波風速計で風の流れを測定し、気温鉛値観測で冷たい空気がたまる高さを測定するなど、データ収集した結果、
・昼も夜も緑地と市街地では平均2度の違いがでた(気温がほぼ変わらなくなるのは高さ40メートル)。
・冷気のにじみ出し現象というものがあるが、これはシミュレーションではでず、実測が必要。
実測した結果、夜間には約100メートル離れた市街地にも緑地の空気が流れ、
日中は最大では約250メートルまで流れていた。
(つまり、現状GLPでは、ゴルフ場北の市街地に約250メートルまで緑地冷気が流れているのではないか)
◆シミュレーション
パラメーターをどうするかで数値はどのようにも変動する。
とりあえず試す価値はあるが、シミュレーション結果は鵜呑みにしない。
GLPの場合は、CFD街区モデルで5メートルメッシュでするとよいが、実測とあっていなければ使えない。
◆GLP開発計画の影響
コンクリ化すること、昼夜とわず人工的な熱をだすことで、高温になる。
また、北の市街地は南からのGLPの熱が流れ込み温度が上昇するのではないか。
GLP計画完成後の夏季気温上昇予測(緑地喪失の影響のみで、データーセンター等の環境影響は考慮せず)は、
・GLP敷地(元ゴルフ場):夏季+約2.5度
・GLP敷地周辺100メートル:夏季夜間 +約1.5度
・GLP敷地北側250メートル:夏季日中 +約0.5度
1000メートル程度離れるとあまり影響はないかもしれないが、
周辺市街地、特に北側には大きな影響をもたらす。
◆質疑応答
その他先生がおっしゃっていたのは、
・上空への排熱は周辺にひろがりどこかで降りてくる。熱源が上昇した影響を予測することは難しいが、上空にそのままいきなくなるものではない。
・緑地喪失について今回予測したが、夜間は人口排熱の影響が大きく、さらに気温があがるのは確実。
・温暖化で気温がどんどんあがっているが、水、緑、風の自然の力を借りると良い。
・ゴルフ場全体の緑地はなくなり、面積が小さくなっても緑地(とくに樹林)を残すことは非常に重要。
街路樹も積極的に植えられるならば、効果がある。
以上、大変勉強になりました。
樹木を多く残すあるいは植樹については、9月議会の質問で以下の通り取り上げましたが、
12月6日・7日実施予定のGLP主催公園づくりワークショップ(11月17日まで参加申し込み受付中)でも参加できましたら直接伝えたい。
※9月議会での質問と答弁
https://akishima.seikatsusha.me/blog/2024/10/03/2317/
※公園づくりワークショップ実施概要
https://www.city.akishima.lg.jp/s096/010/010/010/020/20241022164111.html
なお、11月16日(土)14~17時には、アキシマエンシス校舎棟202にて
公害紛争調停についての学習会と結成集会があるようです。