公民館自主市民講座「昭島を耕そう!」:日野市の生ごみ堆肥化とコミュニティガーデンについて
昨日は、公民館自主市民講座「昭島を耕そう!」に参加しました。
講師は、日野市の「まちの生ごみ活かし隊」代表 佐藤美千代さん。
同市内の「コミュニティガーデンせせらぎ農園」も運営なさっています。
講演タイトルは「生ごみを耕そう!」
市と協働しての生ごみ削減の取り組み事例に驚き、
また、コミュニティガーデンの意義と実践も勉強になりました。
【日野市の概況】
かつての日野市では、例えば多摩地域でリサイクル ワーストワン。
しかし、現在は、1人1日あたりのごみの排出量が少ない自治体として、全国で3位(人口10万人以上50万人未満規模)。
環境省_一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について (env.go.jp)
ごみ改革を経て、本気で減量をした結果今の状態にあるようです。
第3次日野市ごみゼロプランが完成しました|日野市公式ホームページ (hino.lg.jp)
平成27年度の日野市のごみ処理に関しは、赤ちゃんからお年寄りまで市民1人当たり15,380円の負担。
ごみ減量を考えたとき、生ごみについては家庭からいろいろな手立てがとれるのではと注目なさったそうです。
【生ごみ減量(コンポスト)】
◆生ごみリサイクルのメリット
CO2減少による地球温暖化抑制、ダイオキシンの発生抑制、収集・運搬・燃焼・エコセメント費用削減、水分約80%の生ごみを燃やすエネルギーの削減、カラスに可燃ごみ袋が荒らされない、有料指定袋の節約、家庭菜園の肥料代の節約、など。
◆実働の経緯
日野市でのごみ袋有料化に当たっては、600回以上の市民説明にまわり市長自ら説得にまわった。その際に、環境団体も協力、その協力者でたちあげたのが「ひの・まちの生ごみを考える会」であったそうです。
ごみ袋有料化の際に市との信頼関係があったこと、
また、市民が市の力を必要とし、市も市民の力を必要としたことから、
月に一度の活かし隊の会議に日野市ごみゼロ推進課職員も参加をはじめいまに至る。
生ごみを回収する仕組みを作りたいと始めたのが、「まちの生ごみ活かし隊」で、日野市の資源と人材を活用した、生ごみ地域内循環のしくみ作りを目指し、市から委託を受け
第8小学校地域で生ごみ循環の拡大・コミュニティ再生・農あるまちづくりを目指しているそうです。
今も、市とは会議でよい提案があればすぐに実現をしてゆく関係性であるとのこと。
◆回収から堆肥化まで
現在は、約200世帯が参加。申込者からは2000円を徴収し、1週間程度腐敗しない専用バケツを渡す。
生ごみ回収を毎週火・木曜とし、軽トラックで各家庭へ週1回の個別回収。
コミュニティガーデンせせらぎ農園に直接投入して耕し「直接土ごと発酵」を実施(吉田俊道先生に何度か日野市にきて教えて頂いているそうです)。
夏季1ヶ月、冬季3ヶ月で生ごみ分解され、その場で微生物の力による野菜や花づくり。
せせらぎ農園の平成27年の活動実績は、
・生ごみ回収量173世帯 29,064Kg
・落ち葉(堆肥化に活用)回収量 2,978Kg
・雑草・オカラ他回収量 12,107Kg
・ごみ処理費用削減効果 2,648,940円
・二酸化炭素削減効果 37,085Kg
・定例作業参加者 延べ2,680人
・来訪者(体験・見学) 延べ2,461人以上
現在、若いファミリー世帯の関心も増えており、ダンボールコンポストも右肩上がりで購入者が増えているそうです。
◆生ごみによる濃縮堆肥作り
上記と別に実施。畑や市民農園、公園の一角に堆肥枠も設置。
生ごみを持ってきたら隣に置いている落ち葉を上におくルールであるそうです。
回収が難しくとも、木枠を3つ程おいて実践できるとのこと。
【コミュニティガーデンとせせらぎ農園】
コミュニティガーデンとは
「住民の手で身近な空き地を美しい庭や畑に変え、安全で緑豊かなまちを創造していく協働の庭づくり活動」。
欧米で社会問題の解決策として様々な形で始まり、
ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の性質を持つそうです。
※例えば、イギリスでは、1960年代から始まり、現在は全国に1000以上あり、健康な食・環境教育・福祉などに重点をおく。
アメリカでは1973年犯罪の温床となっていた空き地で花や木を植える活動を開始。現在はニューヨークだけで約800カ所以上あり、低所得者や非行少年などの再生の場など、食の確保・社会正義を重視した活動として全国に広がっている。
◆効果
空き地の有効活用、良好な経験・緑地の維持、ヒートアイランド減少の緩和、雨水や資材、生ごみの再利用、健康な食の確保・環境教育、防災機能、心と体の癒やしと再生、異世代交流・仲間づくり、地域コミュニティの再生、社会問題解決の場
◆せせらぎ農園の運営
会則も会費もなく、幼児も高齢者も障がい者もいつでも誰でも好きな時間帯に農体験できる農園であり、
高齢者障害者が元気に働く場、食を楽しむ場、子どもの食農教育の場、地域住民がふれあう場、異世代交流の場、児童館の幼児親子教育、保育園の農体験、小学生の環境教育、花を植えて地域の景観づくり、公園としての場、生き物たちとの共生の場となっているそうです。
※せせらぎ農園 → https://www.namagomi-heraso.com/seseragi-farm/
佐藤さんの言葉で説得力があったのは、
・捨てられるものを自覚し活かし、地産地消を。
・手間がかかるものでもそれをしたい、できる地域人材がいる。人材も地域資源。
・市民農園、農業公園はお金を払い予約する形。地域に好きなときに好きなことをできる場を増やす。
・「ごみを減らし無農薬で美味しい野菜が食べられる」。楽しみながら社会的によいことをする。
欧米ではコミュニティガーデンに関する中間支援組織があるが、日本には一般的にないところ、
日野市のまちづくり条例にのっとり、市の施策に沿った内容の中間支援組織の運用を目指しているそうです。
頂いたリーフレットによると、中学校1区に1カ所、活動拠点を整備を目指すとのこと。
イラストをみても、こんな場所が身近にあるならとワクワクしました。
実現するための制度や仕組みについて他国や他自治体の事例があれば学びたい。