昭島駅北口大規模開発:水と緑についての学習会に参加しました

昨日は、昭島巨大物流センターを考える会の第3回学習会に参加しました。

今回のテーマは、開発地域周辺の水と緑(雨水の浸透、地下水の涵養、緑被率、二酸化炭素の吸収)について。

◆まず、青梅市文化財保護指導員、元都立高校教諭の角田清美さんより
「昭島市を中心とした地質構造と地下水の動態」についておはなしがありました。

・昭島市では水源井について地下水位の測定を定期的に実施。
来年3月に最新の改定がなされる予定だが、
昭和29年~平成14年までの変動をみると、
昭和34年ごろから地下水揚水量の増加に伴い水位低下が始まり、昭和48年ごろに最低水位を記録。
その後は揚水量の減少に伴い地下水は上昇傾向に転じ、昭和59年以降は年により多少の変動はあるものの、
年周期の変動を繰り返しながらほぼ横ばい状態で水位。
この地下水位がほぼ横ばい状態になった昭和59年以降については降水量との関係が認められる。

角田さんがかつて青梅市勝沼で観測したによると、実際に地下水位は降水量に大きく影響を受けている

水収支とは、ある領域・期間を設定し、その領域・期間の出入りを定量的に検討するものですが、
以下「昭島市周辺地下水流動調査報告書」より抜粋します。

「水収支の残余の量は平均約570mmの流入で、日量に換算すると約27,000m3 となる。
この量は多摩川からの涵養や、西および南に分布する丘陵部からの地下水流入によるものと考えられる。
平水年相当の平成13年における昭島市の水収支図を示す。

それによると、1日当たりの平均で、73,00m3の降水があり、そのうち17,000m3 は蒸発散として大気中に戻り、35,000m3 が表面流出として河川に流れる。
残りの21,000m 3が地中に浸透して地下水を涵養する 。地下では 降水による涵養に加え多摩川や上流域からの地下水流入があり、地下水流出量を差し引いた正味の涵養量が26,000m3 である。
降水による涵養と合わせると、正味の地下水涵養量は47,000m3 となり、このうち44,000m3 が水道用水や工業用水と して利用され、2,000m3が湧水として地表に湧出している。
地下の収支は+1,000m3 で、貯留量の変化量となる。」

※「昭島市周辺地下水流動調査報告書」は以下のURLから確認できます。

<5461726F31302D48313695F18D908F918A54977694C52E6A7464> (akishima.lg.jp)

・今回のような大規模な土地利用をする際に、環境アセスでは何かしら問題が生じてからの責任については述べられていないが、事前にボーリングをし調査をしただけでははなしにならない。

物流センターを建築した場合、水がくるか分からず、
センター建築前に井戸を掘り、地下水面を計測し、降水量との関係を調べる。
ただし、降水量は年により異なるから1-2年ではすむ話ではない。

◆次に、昭島巨大物流センターを考える会代表、昭島環境フォーラム代表、
多摩川流域市民学会主宰、都立高校時間講師の長谷川博之さんより
「GLP開発地区の緑被率・地下水浸透問題」についておはなしがありましたが、
専門家にご相談なさりながら、ご自身で緑被率、CO2吸収、地下水浸透について様々な試算をしてくださっていました。

・昭島市環境基本計画では、民間緑地と水面を含む「みどり率」、
主に公共緑地からなる「緑地率」とその維持を掲げているが、
GISを活用して試算した「緑被率」ベースでは、ゴルフ場が消えた場合の減少は3.0%。

また、開発地域の面積を、GISの活用や、ゴルフ場雑誌「ザ・グリーンキーパー」出所の数値で計算し、
昭和ゴルフ場と代官山のCO2吸収について積算をしたところ、そのインパクトは大きい。

・地下水については、
コンクリート被覆の増加により雨水の地下への浸透能が減少
特に湧水等の起源である浅層地下水の涵養が制限され、結果として水道水源の起源である深い地下水への涵養も少なくなる。

※浅い地下水と深い地下水の起源については、「昭島市周辺地下水流動調査報告書」より以下図を抜粋します。

→地下への浸透が阻まれた雨水は、地表水となり、路面や窪地(鉄道のアンダーパスや道路脇の雨水溝)に留まる。
地下の雨水浸透マスや雨水管もあふれかえり、内水氾濫を起こす危険性が高まる。

井戸水をくみ上げる可能性についても、確認が必要。

・水収支の観点からは、角田先生のご講演の報告で抜粋をした平成13年の昭島市の水収支をベースに考えると
降水量7.3万トンのうち、現状2.1万トンが涵養されているが、
試算によるとゴルフ場消失により1時間あたりで0.16万トンが涵養されなくなる

◆水と緑は昭島市のまちづくりの理念になっていますが、地球規模でみたときの気候危機の観点からも失うことはできません。
消失した場合のインパクトについて、今回の学習会では実際に説得力ある数値を示してくださり学ばせて頂きました。

また、昭島市も、水については、各種広報や報告書を以下URLより公開しています。
私も改めて確認をしたいと思います。

水道部の広報紙など|昭島市 (akishima.lg.jp)

◆次回の考える会の学習会は、9月3日(土)19:30~21:30、公民館3F学習会議室にて、
代官山緑地、生き物と自然環境テーマで開催されます。
講師は、以下に詳細が書かれています。
第2回〜第4回 楽しく学びましょう♫〜学習会のご案内〜 (showanomori.info)