2022年9月議会一般質問【大綱3】大規模開発について問う

今回の一般質問では、

【大綱1】誰もが住み慣れた地域でいきいきと自分らしく暮らすための施策について問う
団塊の世代が75歳以上となり超高齢社会化社会に突入するといわれる2025年を目前に控え、
市が持続可能な介護保険制度を実現する絶対条件として掲げる地域包括ケアシステムの深化・推進および地域共生社会の実現の関連施策の確認

【大綱2】学校給食共同調理場整備事業について問う
小学校の学校給食共同調理場整備事業に伴い、
アレルギー対応充実を図り、長期休暇中の食の提供兼ね災害時訓練を実施するかの確認

【大綱3】大規模開発について問う
昭島駅北口大規模開発
について、今後市民参画、市民協働のまちづくりを念頭に、
どのように地区計画を策定し、
あわせて地下水を財産とする本市において雨水対策にどのように取り組むかの確認

をしました。
昭島市のHPから動画が配信されましたのでご報告いたします。

昭島市議会 議会中継 – 発言内容 (discussvision.net)

 

1回目の質問は、約10分まで、その後市長と担当部長の答弁があり、
一問一答の再質問は、23分40分ごろからです。

大綱ごとに投稿を分けて、ご報告します。

大綱3では、昭島駅北口エリアの大規模開発について、今回は地区計画、雨水対策の観点から確認をしました。
同開発は、広範にわたる市街地が物流センターになり、住環境・自然環境が一変し、
市の各種計画とも乖離する計画概要であり、これまでも様々な議員さんが取り上げてきました。
昨年3月に計画予定が示され1年半が経過しましたが、
この間、市民の方々から様々なご意見や、具体策を講じられない市や市議会に対する厳しいご指摘など頂いてきました。
どのような手法でどの段階で効果的な意見をいえるかというところから手探りをし、懸命に動く市民の方々もおり、
いまは明かなことはいえる段階ではないというご答弁が続くようでは、
市民の皆さんに到底納得頂けず不信感に繋がり、市民協働のまちと真逆の状態になります。
せめて、市として具体的に何に備えているのか、
また市や市民は同開発に対して、どのように関われるかの一般論や見通しだけでも明かにし、
まちづくりのパートナーである市民に対し、誠意を示すべきと質問に取り組みました。

◆今後市として策定に取り組む予定の同地区の地区計画は、市もイニシアチブをとれる部分があります。
いかに市民参画を担保しながら、計画策定に当たる考えか質問をしましたが、
今回質疑を通じて明かになったことは以下の通りまとめます。

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◎策定時期
未定。一般論として述べるのも難しいものの
今後、都の環境アセスメントが実施されると調査計画書、環境影響評価書案が作成されるが、
その過程で、都民や市が意見を、
また、それら意見を踏まえて東京都環境審議会も事業に対し意見を述べるプロセスがある。
環境影響評価書案がでた段階で、どのような意見がでているか、専門家はどうみるかを踏まえて策定着手を検討する。
また、策定期間については、地区計画自体は昭島市決定案件であり最終的には都市計画審議会に諮るが、最短でも半年は要する。

※上記フローは、以下URLの東京都環境影響評価制度のパンフレットより抜粋。

pamphlet_r2.pdf (tokyo.lg.jp)
◎市民意見の聴取:
都市計画法に定める説明会開催より早期の段階で、素案説明会を開催し、市民意見の聴取を図る。
◎区域、緑化率など具体的な制限内容:
今後の検討。
ただし、区域については、ある程度一体の土地利用をするところは、一体の区域とすべきとの考え
今後は、例えば緑化率については緑の拠点としての制限等、都市計画マスタープランとの整合を図る必要がある。
◎市民参加:
まちづくりは行政だけで進めるものではない。
市民の考えも踏まえるが、当然地権者の意向も無視できないので、バランスをとりまちづくりを一歩一歩すすめてゆく。
現在は、地区計画の素案説明会が、市民が効果的に関われる場と考えており、他には、市長への手紙等で多くの意見を頂いている。

※上記図は、以下URLの昭島市都市計画マスタープランより抜粋。
都市計画マスタープラン|昭島市 (akishima.lg.jp)

◎都市計画マスタープランで掲げるまちづくり条例・景観条例の制定:
いますぐの拙速な条例制定は考えていない。

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現在、効果的に市民が関われるとの認識を持つ場は、地区計画の素案説明会とのことですが、
私はそれで足りると思いません。
これだけ広範にわたる開発で、生活環境・自然環境が激変する可能性が極めて高い状況です。
民間事業者によるものとはいえ、市民とのコミュニケーションの手段が市長への手紙だけでは不十分であり、
市民参画、市民協働のまちづくりを実践しているとは思えません。
市民、市、事業者がよりよい環境整備に向けて協議する必要があり、
その中核を担えるのは都市計画マスタープラン、環境基本計画などの各種計画で、市民、市、事業者の責務を定めている、市ではないでしょうか。
市が都市計画マスタープランで述べるように、「市民はまちづくりの主役」であることは間違いありません。
対話し信頼関係を構築し、知恵をお互いだしあい、協働で、暮らし続けられる昭島を模索すべきです。

◆環境基本計画では、都市化による人口盤面の増加に伴い雨水が地下に浸透しにくくなったことや、
工事等による地下水脈への影響などによる湧水の水量の低下・消失がすでにみられると分析していますが、
大規模開発に伴い広範囲がコンクリート化し雨水浸透できない事態になれば、
昭島の財産である地下水保全や、市民の安全に関わる内水氾濫に影響が生じる可能性があり、重大な問題であると、雨水対策についても確認をしました。

今回質疑を通じて明かになったことは以下の通りまとめます。

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◎地下水への影響予測
東京都環境影響評価制度の環境影響評価項目17項目のなかに水循環がある。
環境影響評価項目は事業が環境に影響を及ぼす恐れの有無で選定し、事業者が調査および予測をするので市が予測等をおこなう考えはない。
立川基地跡地の事例では、環境影響調査において、水循環について調査・予測。
7月19日付GLPから昭島巨大物流センターを考える会にだされた回答書によると、
環境アセスメントで選定予定の環境影響評価項目に水循環がないことが非常に気に掛かると懸念を伝えたところ、
いろいろな評価項目があり、水循環以外についても、しっかりと提言をするとのこと。
◎雨水浸透処理:
昭島市宅地開発等指導要綱で、時間60ミリの降雨に対応する雨水浸透施設を事業地内に設置することを求める。
なお、環境基本計画で気候変動影響の状況を踏まえた風水害対策の検証や、深層地下水流動調査の結果や気候変動に関する情報を踏まえた適応策の検討を掲げている旨指摘したところ、
降雨量毎時60ミリで充分か否かについては、気候変動適応策でうたう対応を粛々と実行していく。

◎今後策定予定の市の雨水管理総合計画:
市や開発事業者の果たすべき責務については、
昭島市宅地開発等指導要綱において、宅地内での浸透処理を求めていることから
改めて事業者の果たすべき責務を盛り込む考えはない。

◎汲み上げと浸透など、水循環を健全に保つ指針を明確に盛り込んだ水循環基本条例制定:
水循環や地下水保全に特化した条例は制定しないが、
湧水保全、水循環の保全、地下水涵養については、環境基本計画で示している。
計画では環境配慮指針を設けており、そのなかの事業所の役割(雨水を地下に浸透させる施設の設置、雨水の積極的な利用、地下水の過剰な汲み上げの抑制など)に基づく協力依頼を事業者に伝える。
◎水循環基本法第5条(地方公共団体の責務)、6条(事業者の責務)、8条(地方公共団体、事業者等の相互連携)の遵守について:
水循環基本法を踏まえて、環境基本計画を策定したため、計画に示す環境配慮指針をしっかりと求めていく。

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誰もが認める昭島の財産は地下水であることは、市民意識調査結果からも分かります。
その地下水の供給が将来的に維持されない事態になれば、まちの魅力が激減することは間違いありません。
大規模開発にあたっては、将来世代にわたって水循環を守るために、様々な角度から万全な対策をとるべきです。
また、条例制定については、計画があるから充分という認識では、地下水保全を確実にできるとは思えません。
前環境基本計画では掲げられていた地下水保全条例制定の検討は現計画ではなくなり後退していますが、
計画ではなく、ぶれない条例が1本、あってしかるべきです。