障害のある子の親が知っておきたい「親なきあとの生活を考える」

本日は、重症心身障害児者支援を行う一般社団法人Calin昭島主催、
「障害のある子の親が知っておきたい「親なきあとの生活を考える」~お金のこと、住むところ、相談するところ~」に参加。

講師は、国分寺にあるNPO法人成年後見ウィル 理事長 阿部由美さんでした。

阿部さんは、お子さんが障害者でいらっしゃり、
「親がいなくても住み続けられるまちで暮らしたい」と、
国分寺市手をつなぐ親の会で活動を行ったり
相談支援の仕事に従事なさったのち、
NPO法人を立ち上げられました。

◆親なきあとの課題については、以下の通り整理しておはなしくださいました。
①お金で困らないための準備
・本人の収入(障害基礎年金など)と支出を把握し、1年間の過不足額を計算する
・遺言を書く
・信託を利用する(家族信託、生命保険信託、特定贈与信託、遺言代用信託)
・お金を管理する(成年後見制度や、社会福祉協議会が行う日常生活自立支援事業)

②生活の場の確保
・障害者支援施設(いわゆる入所施設)
・グループホーム
・居宅介護事業や自立生活援助などのサービスを利用しながらのひとり暮らし
・兄弟や親族と暮らす

③日常生活で困ったことのフォロー
・福祉サービスを上手に利用する
・地域に知り合いを作っておく
・兄弟に頼りすぎない
・様々な関係者にチームで支えてもらう

その他、親あるうちに準備することは、
・本人と家族で話し合う
・親と離れた生活の体験(ショートステイなど)を積み重ねる
・子どもの情報をまとめておく

本人らしく生活してほしい一つのツールが成年後見制度
成年後見人は本人の障害を支える人生の伴奏者・代弁者であり、権利を守る人です。

現在民法改正が検討されており、使いやすい制度に変わる可能性があるものの、現状の成年後見制度は、
・実際の貢献度から試算されず本人の管理財産によって決まる報酬額
・成年後見人は、本人と面会しない、本人の意思を尊重しない、本人の生活状況を把握しないなどの理由では、基本的に解任されない
・申立てのきっかけになったことが終わったあともご本人が亡くなるか能力が回復するまで利用し続けなければならない
等の課題がありますが、法人が後見人になることで、複数人で対応でき担当を交代できたりチェックが働くなど課題解決できる部分があることを教えて頂きました。

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◆実際におはなしを伺ったあとは、グループに分かれて意見交換がありました。

私がおはなしを聞かせて頂いたグループはお子さんが小さい方々が多かったですが、
毎日を送るのに精一杯であったり、
親なきあとのことをいつ頃から考えればよいのかなど
それぞれに悩まれていました。
阿部さんからは、ウイルでは、後見人制度に特化しない生活相談を無料で受けているとのアドバイスがありました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/npowill

他のグループでは、生きている間に子どもが独立して生活できる場所を確保し生活できていれば、あとはお金の管理の問題だけなる(誰が後見人になってもいいようにしておければよい)。
そのためには、グループホームやシェアハウスなど地域も巻き込みひろいコミュニティをつくり、安心して生活できる場を整えられるといいのではとの意見もあったようでした。

Calinご関係者は、地域での外出や、サービス利用など
様々な場面で知り合う方々との関係性づくりの重要性についてもはなされていました。

最後には、阿部さんより、
親同士連携をしてまとまり、何が必要か行政に伝えていく必要があることを
国分寺市や小平市の事例やご自身のご経験から述べられていました。

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制度上の課題など一般化できる課題とあわせて、
地域にある資源やサービスなど地域ごとの課題もあります。

昭島に今ある資源・サービスが何か
足りないものは何なのか。

当事者・事業者の方々のお声を聴きながら考え・提案することをもって
「誰もが安心して暮らせる昭島」に皆でしてゆきたい。