麹町中元校長工藤勇一さんと100人のリアル対話会に参加しました

国分寺シェアリング・ラーニングさんの企画、「工藤勇一さんと100人のリアル対話会」に参加しました。
工藤先生のご著書はこれまで何冊か拝読し、これからの教育に必要な視点や実践に感銘を受けましたが、
はじめて直接おはなしを伺う機会となりました。

以下は、先生のおはなしについて、長文ですが備忘録です。

日本の教育の最大の課題は、【Agency(当事者意識と対話の力)の欠如】
これが世界的にみてもどれだけ致命的か、様々な諸外国との比較データをみせてくださいました。
これからの人口減少・高齢化社会では
これまでどおりの価値観や人財育成では追いつかない。
にも関わらず、勘違いしたまま、与える教育を続け必死に勉強させ偏差値が高い大学に入ればよいという時代ではもはやなく、
当事者意識を持ち自分の頭で考える人材育成が必要。
ヨーロッパでは宿題をだしてはいけない国があるし、塾もないのもよい比較例。

もうひとつの課題は、【インクルーシブ・ダイバーシティ】
人はみな違っているが、互いの自由を認め、対立するのではなく、対立を受け入れる。
その際、思いやりの心で解決を導いてはいけない。
日本では、違う考え方に接するとイライラする人が多く、心の教育で解決を導くが、それでは同調性・同質性をうむ。
「みんな仲良く」の言葉がいじめをうむ。
感情と理性を切り分けて、対話で解決せねばならない。
ヨーロッパでは戦後の教訓から、市民教育(シティズンシップ教育)が進むが、
日本では民主主義は議会制民主主義と誤った捉え方をしている。
国連のWorld Happiness Reportにすでに示されている教育の方向性を実践するためにも、子どもたちに民主主義を教える。
民主主義を教えないと社会は変わらず、平和も訪れない。
最上位概念を常に確認しながら、
利害は対立するが、多数決で解決するのではなく、
その対立に注目し、一人残らずいいねといえる答えをみつける。

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その後の質疑応答ででたお言葉は、
◆工藤先生が教育現場で最初に徹底することは、
自由に意見をいえる環境をつくり、
どんな意見も善でも悪でもないと思えるようにすること、
考え方が違うとイライラするが
イライラするのをやめようという言葉がけ。

◆教師や生徒に学校運営を任せると、当事者意識がうまれる。
当事者意識をもちながら、民主主義の重要ポイントである全員がOKであることに重きをおきながら運営を実践すれば、
誰も文句はいわず、
肯定感はあがり
教師の働き方改革等にも繋がるよいスパイラルにはいる。

◆一部の人がはなしだすと、はなしあいになれていなかったり
同調性でNOといいづらくなりしゃべれなくなったりで
話し合いに参加できない人もいる。
そうした際に有効なのはブレインストーミング。
批判しない、他者の意見にあいのりOKのブレインストーミングに慣れると、みなが意見をいえるようになっていく。

◆我々の声が政治に通らない理由は、
我々が当事者意識をもっていないから。

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現在先生がいらっしゃる横浜創英中高では様々な改革を進めているそうですが、
そのノウハウは無償で提供していくとのこと。
実際に群馬県に提供中であるそうです。
横浜創英が目指す今後のカリキュラム予定に並ぶ言葉には、圧倒されました。

何がこれからの時代必要か
何が子どもたちの力を育むのか
考え実践するためのカリキュラム。

これが一部の人だけ享受できる特別な教育ではなく、
多くの人がアクセスできる、当たり前の教育モデルになればと心底思いました。

私たちがひろくまず日本の現状と向き合い、子ども・教員の幸せ像を再確認・共有した上で、そうした変革をできるところからでも実践していくべきですね。
子どもたちはあっという間に成長してしまう。

全国校長会や教育委員会の依頼しか受けない工藤先生ですが、
シェアリング・ラーニング主催者とのこれまでの関係性から
今回は、市民団体主催の企画でおはなしくださったそうです。

工藤先生から喝を頂き、参加者との対話の時間には様々な立場からの意見を伺えた貴重な3時間でした。
主催の皆様に感謝。