公益社団法人東京自治研究センターの月例フォーラム「認知症最前線 認知症の基本と最近のトピックス」
公益社団法人東京自治研究センターの月例フォーラムより「認知症最前線 認知症の基本と最近のトピックス」を視聴。
講師は、東京都立松沢病院 精神科医長 新里和弘さんでした。
◆まず認知症の基礎知識について。
認知症は脳内に変化が生じて認知機能が低下し、そのために社会生活に支障をきたした状態。
大きく4種類あり、
①50-70%がアルツハイマー型
②10-20%がレビー小体型
③10-15%が血管性(このタイプだけは予防可能)
④約5%が前頭側頭型
認知症に伴う問題行動は、人によってでたりでなかったりと出方が違う。
①は70歳半ばから急増、ゆっくりと進行。
本人が最初に不安をもち気付く。
知的に習得されたものより体験的なものが維持されるため、水泳や将棋、自転車走行ができる。
感情的なものは長く残るため、ネガティブな感情を残さないよう対応する。
②は、パーキンソン病の親戚であるが、かなり進行しても記憶は維持される。
注意力にむらがでて、リアルな幻視がみえたり、足が小刻みになり前屈みになり手のふるえがでたり、レム睡眠行動障害などの症状がある。これらの症状のうち全てがでるのではなく、だいたい1つか2つでるが、初期症状としては臭いが分からなくなる方が3~4割程度いる。
多彩な症状がでるが、認知症専門医も連携してみる。
③は、高血圧・コルステロールをコントロールすることで発症を減らせる。
精神症状を伴う意識障害がでる。
脳卒中の度にがくんと症状が悪くなるが、
脳卒中のリハビリテーションで一番重要なことはリハの早期取り組みであり、スタートの見極めが重要。おかしいと思ったときにはすぐ救急車を呼ぶ。
④は、65歳以下の若年期については、アルツハイマー型に次いで多いが、65歳未満の発病は難病指定されている。
前頭葉はその人らしさをコントロールしているため、人柄が変わる。自分が病気であるという意識が乏しい。
食行動に問題がでたりする。
◆令和元年厚労省の認知症施策推進大綱ができ、
本年6月には認知症基本法が成立した。
認知症は誰もがなりうるものであるが、
認知症の本人や家族の意見を反映し施策の充実を図り、
認知症の人が社会に参加する機会を確保し、国民の理解を促していく。
しかし、2040年頃から約4分の3の市町村では、
ケアを担う若い人口減で担い手が減っていく。
自分の住み慣れたところに住み続けるにあたっては大きな課題もある。
世田谷区のように条例制定した自治体もあるが、
今後どのように認知症と向き合っていくのか。
けがや病気は認知症を進めてしまうが、インフルや熱中症など予防できるものは予防する。
運動と栄養に注意を向けていきつつ、
本人の視点が今後欠かせず社会資源をフル活用すべきといったおはなしがありました。
誰がいつなってもおかしくない認知症。
法律に目を通しつつ、地域でどのような取り組みが必要なのか考えるきっかけを頂きました。
今回認知症のトピックは3回シリーズらしく、引き続き情報収集してまいります。