「作業療法士からみた子どもの遊びと発達」

東京・生活者ネットワーク子ども部会の学習会「作業療法士からみた子どもの遊びと発達」に参加。
講師は東京都立大学健康福祉学科作業療法学科教授 伊藤祐子さんでした。

視覚作業療法の基本理念は「人は作業を通して健康や幸福になる」。

生まれてからお年寄りまで幅広いライフステージに関わり、
その領域も、医療、保健、福祉、教育、職業などの多岐にわたるなかで
昨日は発達支援についておはなしくださいました。

子どもにとって、遊びは生活を構成する作業のなかでも非常に重要なもの。

遊びを通じて感覚、運動、認知、コミュニケーション、社会性などさまざまな能力が発達、
いわゆる脳の情報処理ネットワークや心身の発達を促すそうです。

◆とくに作業療法の理論のひとつ、感覚統合理論の視点から
子どもの発達に大切な感覚(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、前庭感覚、固定受容感覚)の発達のため
子ども一人ひとりに応じた、能動的に楽しめる遊びの内容や量を段階的に積み上げていくことが、
生活機能障害の困り感を減らしていくことを
様々な遊びの事例とともに教えてくださいました。

これまで、「遊びは子どもにとって欠かせない」という認識はあっても
作業療法の観点から、どのような遊び(作業)がどのような発達に関わるかが
具体的に分かりました。

◆もう一点、印象的だったのは、園庭や校庭、公園などの固定遊具は、子どもの発達に必要というご指摘。

例えば、砂場は、昨今は衛生面から敬遠されがちですが、触覚・視覚や、コミュニケーション・ルール等社会性を学ぶのに最適とのこと。

その他、老朽化や事故で遊具そのものが減ってきているものの、身近な生活圏内でダイナミックに遊ぶための、ブランコ、すべり台、回転するもの、上下するもの(シーソー)などの重要性が分かりました。

乳幼児期から子どもが日常生活のなかでさまざまなものに触れる体験をし
楽しみながら遊ぶ経験は人間の発達に欠かせない。

デジタルデバイスも普及するなかで
大人がいかにその重要性に目を向けて体験を確保できるかが、
将来的に子どもたちがよりよく生きることに直結すると思えた講座でした。

学び多い時間をありがとうございました。