【討論】2024年9月(一般会計歳入歳出決算認定):GLP昭島プロジェクト他について

本日、第3回定例会が終了いたしました。
一般会計歳入歳出決算認定について、主にはGLP昭島プロジェクトについての意見を交えながら、賛成討論をしました。


任期中は、昭島市公式HPの以下リンクから動画視聴いただけます。
1時間2分30秒ごろから12分50秒ごろまで討論しております。
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/akishima/WebView/rd/schedule.html?year=2024&council_id=50&schedule_id=6

日程第1認定第1号令和5年度昭島市一般会計歳入歳出決算認定について、みらいネットワーク会派を代表し、意見を交えながら賛成の立場で討論致します。

先月能登半島地震の被災地を襲った記録的な豪雨に、「自然災害はいつどこで容赦なく起きるかわからない」こと、痛いほど実感しております。突如命を奪われた方々への心からのご冥福と、いまだ過酷な状況にある方々にお見舞い申し上げるとともに、行方が分からない方々の一刻も早い安否確認を切にお祈りいたします。

年々気候が激甚化しています。市においても、今夏は熱中症警戒アラートによる行動制限、雷雨や豪雨などにみまわれ、温暖化対策はいよいよまったなしの状況であり、より強固な自然災害対策や、安全保障の観点からの食やエネルギーの自給率向上が不可欠です。

世界に目を向けても、国土の3分の1が水没したパキスタンにおける大洪水や、山火事が市街地に壊滅的な被害をもたらしたハワイのマウイ島、いま現在アメリカで甚大な被害を出している大型ハリケーンなど、にわかには信じ難い惨状が各地で生じており、世界的な集中豪雨、旱魃、大規模な森林火災等自然災害や、それらに伴う生物多様性の消失が連鎖的に発生しています。また、市においても数年にわたり都度苦渋の対応を迫られた新型コロナウイルス感染症流行は、国の環境白書などで気候危機や生物多様性の損失などとの密接な関連性が指摘されています。温暖化は、私たち人間の生息地や食生産への影響以外にも、感染症流行等々間接的に生存を脅かしており、2030年までにいかに「気候危機」「気候正義」に向き合うかが問われています。

さて、このようななか国ではデジタルインフラ整備を進めていますが、データセンターによる膨大な温室効果ガス排出量、電力消費量、排熱によるヒートアイランドなどの環境影響は看過できません。必要な社会インフラであっても、温暖化対策と逆行しており、日本最大規模のデータセンター建設計画がある自治体として、国に対策を求めるべきです。

また、GLP昭島プロジェクトについては、東京都環境アセスメントのなかで環境影響が明らかになりましたが、都内では環境アセスメント対象要件にならず地域住民に環境影響が事前に公表されないまま動き出すデータセンターもあります。制度上のその他課題についても、都議会の環境・建設委員会、あるいは都民の意見を聴く会などで指摘されており、今後の都の環境保全を考えた際に課題と捉えたことが市においてもあれば、よりよい未来のため都に制度改善を求めるべきと冒頭申し上げます。

さて、昭島市一般会計歳入歳出決算について、みらいネットワーク会派としては賛成いたしますが、いくつかの意見を述べさせていただきます。

まず、市民の暮らしが非常に苦しいなかでの水道料金・下水道使用料減免をはじめとする各種物価高騰対策を高く評価します。今後は、高齢化が一層進むなかで、とくに単身高齢者女性の生活困窮策、生活困窮者の住まいの確保と、それにも関連した「身寄り問題」への取り組みなどを通じ、誰もが住み慣れた地域で安心して自分らしく生きていける昭島となることを期待します。

次に、保育施設における医療的ケアの実施を評価します。今後は部署連携し他の課題にも対応するため、医療的ケア児コーディネーターの早急な配置をもって、さらにインクルーシブをおしすすめるべきと意見します。

次に、予防接種事業については、世界的にも日本でしか承認されていないレプリコンワクチンの利用は当面控えるべきです。また、特定ワクチンの学校からの周知は、ベネフィットの印象を強調し、ベネフィットとリスクの判断にバイアスがかかる恐れがあります。学校からの周知は控えるべきと意見します。

次に、命の危険にも繋がる熱中症対策について、小中学校への熱中症対策用簡易テント配置を評価しますが、この数年は校舎の暑さに喘ぐ現場の声が届いており、抜本的な対策が喫緊の課題です。とくに、学習環境改善のみならず電気料削減効果もある断熱には、部分的な試行・検証から取り組むべきです。

次に、校内別室指導による、不登校児童生徒の居場所の拡充を評価します。今後も事業を継続・拡充することとあわせて、そもそも不登校をうまないために、教育現場において子どもの権利の実践を徹底すべきと意見します。

次に、GLP昭島プロジェクトについては、昭島駅北側地域等交通量調査の今後の測定見込みと、同プロジェクト踏まえた自動車騒音調査を評価します。適切な時期、必要な地点での実施に期待します。

一方で、そもそも事業者が示す発生交通量への不安の声はひときわ大きく、とくに通学時の児童生徒の安全確保は非常に大きな問題です。交通量削減を引き続き強く求めるとともに、学校そばの交通ルートの見直し等、事業者や警察と協議すべきです。

また、計画地の緑の量と質については、地区計画策定に伴う緑地保全条例制定に市も主体的に関わり、条例範囲外の緑地についても緑のまちあきしまにふさわしいものとなるよう意見することを求めます。

日本最大規模のデータセンターについては、現状では、CO2排出量が市全体の約4倍、電力消費量が約6倍、排熱も約3.5倍という専門家の試算もあり、いち事業として許容しがたい環境影響です。市議会においては、昨年「GLP昭島プロジェクトについて昭島市の上位計画と整合し法令に則ったものとなるよう真摯な協議を昭島市に求める陳情」が全会一致で採択されていますが、このままでは計画と整合性がとれません。

データセンターの環境影響については、都議会や東京都環境アセスメントのなかでも、強い懸念が示されています。市では9月25日にGLP社長とオンライン対談をするも、事業者の回答は非常に曖昧です。翌日の環境影響評価審議会では、委員から再生可能エネルギー利用について、できるだけ具体的に将来的な計画を評価書に盛り込むよう指摘がありましたが、市においても、具体的かつ確実な対応策の回答を求めるよう意見します。

また、9月17日の都民の意見を聴く会では、24人の公述人から、環境保全や生き物の見地、あるいは子どもへの健康被害リスクや交通事故・交通渋滞含めた暮らしへの影響の見地などから様々な意見が述べられましたが、全ての公述人に共通するのは事業者に対する不信感でした。なかには、PTAから事業者にだした意見書の回答が半年後、内容も一般論にとどまり非常に落胆したと述べた公述人もいました。

これら意見を受け開催された、9月26日の環境影響評価審議会では、事業者による30回程度の説明会も、双方向の意見交換・協議となっておらず、信頼関係が構築されていない旨複数の委員から指摘がありました。会長提案により、アセスメントの項目でない、「住民の意見を十分に聴くこと」が答申案に盛り込まれる議論まであった審議会と同日の、事業者による開発申請には、驚きを隠せません

環境省によれば、環境アセスメントでは、双方向の情報交流を通じて、 地域の住民のほか、NGO・NPO、地方公共団体、学識経験者等の専門家など、幅広い方々が保有している動植物の生育・生息状況や、より環境影響が低減できる環境保全措置等環境情報を収集し、考慮することが重要であり、事業者の環境保全に関する取組状況やその成果について住民等へ適切に情報提供を行い、環境保全に向けて努力する姿勢を示すことは、事業者の社会的評価を高め、CSRに関する取組を社会的にアピールする上でも有効としています。

このタイミングでの開発申請は、環境アセスメントを骨抜きにし、続行中の議論や住人の懸念を軽視することであり、更なる不信感に繋がることはいうまでもありません。建設工事期間含めた交通量の増加からの交通事故・渋滞、大気汚染、騒音・振動や道路インフラへの影響、極めて貴重な緑地エリアとそれに伴う生き物の喪失、市の計画が破綻するレベルのデータセンターによる環境影響、景観の破壊や市民の生活を彩る象徴であったフォレスト・インたて壊し等、問題はいまだ山積しており、市民の不安の声は尽きません

GLPは、対外的には、環境配慮や地域と共生しながらの持続可能な地域社会の発展への貢献を謳う企業です。であれば、誠実で真摯だと市民が実感できるコミュニケーションをはかり、当地で生活を営む市民の安全安心や、市の計画と整合性がとれる環境が確保される計画案を示すことをもって、真にまちづくりのパートナーとなるよう、引き続き市からもあきらめずに求めるべきです。

以上、何点かの意見を述べさせて頂きましたが、市民参加を基本に、行政、事業者など様々なステークホルダーが一丸となって、将来世代まで安心して暮らせるまちをつくることは、我々の責務です。その前提にたった上で、水と緑豊かな昭島を多様な主体とともに実現いたしたいと最後に意見として申し上げ、本予算に対する賛成討論といたします。