「コロナ禍で少女たちに何が起きているか」NPO法人ピルコン代表による講演会
生活クラブ生協のインクルーシブ事業連合子育て支援フォーラムに参加しました。
講師は、NPO法人ピルコン 理事長 染矢明日香さん。
◆大学生のとき学生団体としてたちあげ、現在は大学生や若手社会人のスタッフが参画。主には中高生向けに性について伝えていらっしゃるそうです。
自分の人生を自分で舵取りし選び取る、自分が自分らしく人生を豊かに生きられるための性教育をとのことでした。
◆ピルコンが取り組む社会課題は、性情報の氾濫。
背景にあるのは、日本の年間人口中絶件数約16万件(うち10代も約1万5千件)。
出生中85万件、うち予定外妊娠の推計は年間約61万件。
若者を中心に性感染症が拡がり、SNSを通した子どもの性被害が増加しているという状況です。
また、ピルコンの調査によると、性情報は友人や先輩、インターネットが主な情報源で、正しい知識を得る機会が少ない。若者(34歳以下)に限ると、「性交」を知るのは12歳未満で65%に及ぶそうです。
◆昨年の休校を境に、妊娠の不安、避妊など、ピルコンへの10代の相談件数が増え、月あたり10代の相談件数は約2倍に。連絡が連日入ったそうです。
ピルコン以外でも、「こうのとりのゆりかご」「小さないのちのドア」「にんしんSOS東京」など他の妊娠相談事業も増加の報道が相次いだとのこと。
しかし、相談は対処療法的なものなので、もともとの知識が欠かせません。
その際、女の子だけに避妊の知識を伝えるだけでは不十分で、性別関わらず自分の身体は自分のものであること、性的同意など幼いころから繰り返し訴える必要がある。
また、事業を進めるなかで感じられたのは、子どもにも大人にも幅広く性教育を学ぶ機会が必要であるということであるそうです。
◆その後、国際スタンダードである幼い年齢から人権教育として捉える性教育のあり方(国際セクシュアリティ教育ガイダンス。他者を尊重しながら、自分で選択ができる性的自己決定力を育み、健康な選択のためのライフスキルを獲得し、健康と幸せの実現につなげていくことが目標として位置づけ)、日本の性教育の変遷や現状(いまの性情報の氾濫と比して、日本の保健体育の指導内容があっていない)を話されました。
いま困っているたくさんの人のために、誰一人取り残さない政策が必要であるところ、
国の動きとしては、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」のなかで
・令和2~4年度を、性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」とする
・刑事法の在り方の検討に加え、被害者支援の充実、加害者対策、教育・啓発の強化
を掲げているとのこと。「生命(いのち)の安全教育」の推進も提唱されています。
性被害・性犯罪はひとたびおきればその後の人生に深刻な影響を及ぼします。
いまできることは何か考えたとき、その対策のひとつとしての性教育は必要であると再認識できた講演でした。
◆講演後の質疑応答では、学校での講演実施が質問にあがっていました。
テスト的に実施をしたところ「良かった」という声があり、学校から依頼のケースもあるが、
学校の校長や管理職の意向で左右されたり、保健体育でやっているから大丈夫というケースもある。学校は保護者からの意見があれば実施しやすいとのことでした。
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以下は、企画中紹介されていた情報一覧を一部抜粋します。
▼LINEの自動応答で回答がくる相談先「にんしんカモ相談」
https://pilcon.org/help-line/contact/ninshin-kamo
▼ピルコン保護者向け情報
▼おすすめの書籍
https://pilcon.org/help-line/recommended-books
▼性教育動画「AMAZE」
▼性のモヤモヤに答える「セイシル」
▼命育
▼署名キャンペーン
\中学生に包括的な性教育を/
https://www.change.org/adachi-karada