討論:GLP昭島プロジェクト関連の地区計画に係る条例改正

本日、議会最終日でした。
GLP昭島プロジェクト関連の地区計画に係る条例改正について、以下の通り反対討論をしました。

日程第11議案第41号「昭島市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」について、みらいネットワーク会派を代表し、反対の立場で討論いたします。

まず一点目、条例改正の提案理由に「玉川上水南側地区地区整備計画区域における建築物に関する制限について定める計画地区を加え」とありますが、そもそもの玉川上水南側地区地区計画については、4月10日都市計画審議会でも意見を述べた通り、建物高さ、壁面後退や緑化等々に関し、この間959件にのぼる市民意見が寄せられており、市議会議員あてにも、審議会当日まで団体あるいは個人から、慎重審議を求める要請を頂く状況ですらありました。残念ながら市民の想いとは乖離があり、市民理解を得られた状態とは捉えておらず、同地区計画に関連する条例改正については、反対します。
市民参画・市民協働で改定された昭島市都市計画マスタープランでは、市民、行政、事業者が一体となってまちづくりを進めることが重要であるとしています。またマスタープラン上、市民に期待する役割として、「実際にまちなかで日常生活を営んでいる市民は、まちづくりの主役として、まちづくりに関する合意形成やまちづくり活動へ参加するなど、自ら、住みやすいまちづくりに積極的に関わりを持つように努める」としているならば、合意形成などの機会こそ、積極的に創出する必要があると意見します。

次に二点目、条例改正の提案理由に「新たに都市緑地法に基づく緑地の保全のための制限について定め」とありますが、昨年、都市緑地法等の一部を改正する法律案が閣議決定されました。近年気候変動対策や生物多様性の確保、幸福度の向上等の課題解決に向けて、緑地の持つ機能への期待が高まり、ESG投資など環境分野への民間投資の機運も拡大しています。しかし、現状では、我が国は世界と比較して都市における緑地の充実度が低く、減少傾向すらあるなかで、民間事業者による緑地確保の促進等もしながら、緑のネットワーク含む質・量両面での都市緑地の確保等強力に進めることが法改正の背景にありました。今回の条例改正の提案理由として改正都市緑地法を根拠にするのであれば、それを踏まえた緑保全が必要です。

しかしながら、さきの都市計画審議会の質疑では、緑のネットワークの質・量の捉え方への疑問は、解消されませんでした。審議会でも述べた通り、昭島市環境基本条例第12条では、「市は、環境の状況を的確に把握するとともに、そのために必要な監視、測定等に努める」としているにも関わらず、緑地保全条例制定には欠かせないと前々から訴えていた市としての代官山樹林地の実態把握も実施予定はないとの答弁もあり、十分な対応策もみえてきませんでした。
その後、実態把握については6月19日の建設環境委員会で実施すると前進するご答弁がありましたが、実態把握の頻度や緑保全のありかたについては、不透明なままです。昭島市都市計画マスタープランの第2地域は、水と緑のまちづくりの方針を掲げている地でもあります。工事前の実態把握以外にも、代官山の緑地保全地区の調査は適切な保全のため欠かせないと意見します。あわせて、東京都環境影響評価制度上の調査結果を活かし、代官山緑地の植生を明らかにすることも事業者に求めるべきです。

また、今回のような条例による保全策以外に、「特別緑地保全地区」や、玉川上水沿い他自治体には「風致地区」などの制度がありますが、「特別緑地保全地区」については、該当地区に対し保全計画を策定し、管理計画や行政と市民活動の役割分担を明確に示しながらともに植生・施設管理にあたる近隣自治体もあります。

市においても、今後、専門家交えた実態把握や協議を踏まえながら、武藤順九彫刻園の管理含め、誰が責任をもって管理をし、どのような方向性で生態系保全含めた緑地保全をしていくのか、将来にわたって確実な保全をするためにも明文化し公開する必要があります。また今後の保全にあたっては、事業者と市民参画の実現にむけて、市民意見を取り入れ協議をすべきと意見します。

以上、反対理由を述べさせて頂きましたが、水、緑など自然資本が確実に守られることで、生物多様性が維持され、そこではじめて私たち人間が生きる上での安全・安心が保障されます。市においては、昭島市環境基本条例の冒頭で、私たちは、めざましい経済発展と豊かで便利な生活とのひきかえに、かけがえのない自然環境を自らの手でこわしかねない状況をつくりだしているが、人は誰もが、健康で文化的な生活を営む権利を有するとともに、将来にわたって恵み豊かな環境を引き継いでいく責務を有しており、人と自然との共生をめざし、うるおいのある環境を守り育てるための施策を一層進めていかなければならないとしており、その第三条、基本理念では、「環境の保全等は、人と自然が共生し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築することを目的として、すべての者の積極的な取組と相互の協力によって行わなければならない」としています。
市民意見も踏まえながら市が目指す環境保全を皆で実現するための地区計画や条例改正であるべきと申し上げて、反対討論とさせて頂きます。