会派視察(居住支援、雨水活用、教育)

1月20日~22日、会派のみらいネットワークで九州へ視察へいってまいりました。

◆居住支援(北九州市のNPO法人抱樸)
社会構造がホームレスをうみだしているとのお考えのもと、活動を始められて32年目。

http://www.houboku.net/


始めたことは必ず実行する努力をなさったなか、例えば北九州と福岡では現在53社の不動産業者がホームレスと認識しながら物件を紹介。地元で着実に信頼を経ながら活動を拡げられ、いまに至るようです。

活動にあたり核にあるのは、
人との繋がり(ホーム)をどうつくり、その人の生活を支えるかという考え方で、
既存の制度では拾えきれない方々のための27事業を実施。

必要とされる仕組みづくりを活動継続できる収益構造で実現させるべく、
必要応じて行政や地元の全議員にも働きかけしたり
支援以外でもエネルギーを使いながら
模索なさっていました。

社会で必要とされるものが作られるのを待つのではなく、
沢山の努力を払いながら自ら作りあげる方々を目の前に、
では本来行政がしなければならないこと、できることは何なのかと考えさせられました。

◆雨水活用(福岡市)
福岡大学渡辺教授のご自宅の雨水ハウス(雨を45トン貯め、トイレ、洗濯など生活用水に利用)


大学へ行き雨が貯まらないサッカー場と研究所を見学。

ご自宅の雨水を軸に考え尽くされた設計には驚きました!
水を六層に分けて貯め常時活用。
六層目の水はフィルターなしでも透明度抜群。

市内の小中学校では、雨水を貯め活用。教授が雨水活用のレクチャーをした結果、生徒会からやりたいとの声があがり、PTAから学校へリクエストをし設置、その後雨水クラブまでできた中学もあるよう。

福岡大学の研究先もとてもユニーク。
先生のご自宅もそうでしたが、ビオトープもあり様々な植物を育てていました。

特に多発するだろう水害対策や災害時の生活用水貯水の観点から、
雨水との付き合い方を考える必要あること理解できました。

◆居住支援(大牟田市)

大牟田市は、10年ほど先をゆく高齢化率とのことで世帯数の4分の1は高齢者単身世帯。空き家率も全国平均を上回るなか、行政の建築と福祉で連携して各所に声かけをしてワークショップを実施。

結果、国の補助金を活用して、事務局を市の社会福祉協会が担い、様々なステークホルダー関わり大牟田市居住支援協議会を設立。

空き家の実態調査や所有者向けの意向調調査、住情報システムや相談体制の構築、空き家活用してのサロン事業、大牟田市ライフサポートセンター設立など様々な取り組みを実施。

居住支援は生活支援であり、一人ひとりの生活の背景にあるものを考えなくてはならないとの考え方を行政職員が持たれていること非常に印象的でした。

◆持続可能な社会の創り手を育成する教育、ESD(Education for Sustainable Development 持続可能な開発のための教育)(大牟田市)

各地から視察がきているそうですが、素晴らしい内容でした。

大牟田市の持続可能な社会の構築の必要性とESDの考え方が合致する、と
平成23年度ユネスコスクール(平和や国際的な連携を実現する学校で、ESDの推進拠点)に市内全小中学校が一斉加盟。
市内全校の加盟は世界的にも珍しいようですが、この一斉加盟と教育委員会のサポートがあって
市長が変わったり教育現場の関係者が変わっても、取り組みは継続・発展。

各学校での学びは、具体的には、総合や生活の授業のなかで
学校の特色を活かして、地域や他校と連携をしながら学ぶテーマを決定・実施しているとのこと。

例えば、「子ども民生委員活動」に取り組む小学校では、当初は高齢者のためと各家庭をまわっていた子どもたちが、逆に大牟田のことを学んだり、学校と地域の高齢者との繋がりができた様子、
「世界遺産学習」に取り組む中学校では、修学旅行で大牟田をアピールしたいと自発的に英語でリーフレットを配布することチャレンジしたり、学ぶ意欲や自尊感情アップに繋がっている様子、
「海洋教育」に取り組む小学校ではユネスコスクールのネットワークを活かし、県外の海洋教育取り組み校と発表・交流することでさらに学びの世界を拡げている様子など、
自己肯定感が向上し、外の世界との繋がりを持ちながら、主体性を育んでいる様子が非常に印象的でした。

子どもたちの学びは地域にも波及していますが、子どもと大人でギャップがでないよう、
教育委員会では、ESDについて様々な啓発をし、
いま現在はESD推進本部の本部長が市長、副本部長が教育長、推進委員が各部の部長の体制で、大牟田市ESD推進協議会、ユネスコスクールの日制定、「ユネスコスクール・ESDのまち おおむた都市宣言」など市をあげて推進。

その他にも、
・ユネスコスクール全国大会の開催
・毎年のユネスコスクール子どもサミット
・子ども大牟田検定
・ユネスコスクール支援センター設置
・大牟田版SDGs
・「SDGs おおむたマップ」の作成
などに繋がっているそうです。

当初は教育現場でも戸惑いあったユネスコスクールという着眼点とその導入ですが、
現場で関わった先生は、じつは新しいことをするというより従来から教育現場でしていたことの視点を組み立てなおしているだけで、
子どもたちの変化や地域への波及を考えるとメリットのほうが大きいとの手ごたえ感じられているそうです。
実例紹介から、これからの社会の担い手づくりに非常に有効であることも分かりました。

今回の3日間の視察で学んだこと、昭島市にどのように提言できるのか考えてゆきたいです。

※日常的な発信はFacebookを活用しています。

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