陳情に対する討論2件:開かれた昭島市議会にしよう

3月28日が3月議会の最終日でした。
陳情について、以下の討論2件の原稿を篠原有加議員が書きましたが、副議長であるため議場で討論にあたれず林が代読いたしました。討論の内容を報告いたします。

①日程第28 陳情第五号 「議員の役割が確実に果たせる市議会への改革を求める陳情」について、みらいネットワーク会派を代表し、委員長報告に対し反対の立場から討論を行います。

地方議会は地方公共団体の意思を決定する機能及び執行機関の監視する機能を担うものとして、住民から直接選挙された首長と相互にけん制し合うことにより、地方自治の適切な運営を実現することとされています。議会は住民自治の基盤であり、地域の民主的な合意形成を進め、民意を集約して団体意思を決定するという重要な役割を担っています

今回は4点の陳情項目があり、どれも非常に重要な議会に対する問題提起であると考えます。

まず、議長・副議長の質問につきましては、現在、副議長が質問できる自治体は多摩26市中19市であるとの答弁がありました。不採択にされた委員からは、「必要性を感じない」という信じがたい意見がありましたが、議員の質問の権利を制限すること自体があってはならないという基本的立場に立っていないことに驚きました。一般質問は、議員が有権者の代理人として首長及び執行部を監視する役割が期待されています。議論の過程及びその成果によって、議会による監視がうまく機能しているかどうか有権者が判断することができる、市民にとっても非常に重要な機会であるがゆえに、一般質問は議長にとっても副議長にとっても機会を与えられるべきものであり、それを制限することがあってはならないと考えます。

次に、会派代表者会議につきましては、会派の代表が入る場ということで非常に重要なものであると考えますが、すでに現在の会派代表者会議は形骸化しているのではないでしょうか。プライバシーの問題について懸念があるとの意見が出ていましたが、採択に賛成の委員から出た意見のように公開を決めてから細部の部分で公開しない部分も整理すればいいことであり、すべてを非公開にする必要はないと考えます。可能な限り市民に情報を開示する姿勢をみせるべきです。

次に、BCP事業継続計画は自然災害や感染症、テロ、システム障害などの緊急事態が生じた際に重要な事業を継続させ、もし中断しても可能な限り短期間で復旧させるための方法や計画となります。東日本大震災や新型コロナウイルス感染症など、予測不可能な事態が起きたときに議員が非常時でも議事機関として議会の機能を発揮するためには平時と異なる体制や運営を独自に定めておくことが必要であると考えます。よって議会BCPは早急に策定すべきと考えます。

次に、議員間討議につきましては、現在多摩26市中14市において行っている、または規定がある状況です。市政に関する論点や争点が明らかになり、あらゆる改革の核となるきわめて重要性の高いものであると考えます。「批判の応酬となる」という意見がありましたが、議員間討議で意識すべきは対話であり、相手を否定するものではありません。互いを認め合う対話を通してこそ新しい気付きやアイデアが生まれるのです。また、議論を行う前提として論理的な思考力も重要であり、議員一人一人のスキルアップにも繋がり、非常に重要なものであると考えます。

以上により、日程第28陳情第五号 「議員の役割が確実に果たせる市議会への改革を求める陳情」については採択すべきものであり、委員長報告に対し反対の討論とさせていただきます。

②日程第30陳情第11号「市民に更に公開された議会への改革を求める陳情」についてみらいネットワークを代表して、委員長報告に反対の立場で討論を行います。

これまで改選後に行う会派要望の中で、みらいネットワークは度々この陳情項目にある内容のいくつかを要望してまいりました。平成23年度以降の会派要望の項目は延べ59項目、そのうち実現したものは本会議のインターネット配信、委員会の資料の事前配布、一般質問の一問一答の3項目と非常に少ない状況です。

まず、陳情項目の議会報告会につきましては、多摩26市中16市で行われております。市民の方々へ議員が直接、議会で決定されたことや議決の結果を伝え、意見交換をしていく場は非常に重要であり、議会報告会は早急に取り組んでいく必要があると考えます。

次に、請願・陳情者の趣旨説明につきましては、多摩26市中19市が実施しています。昭島市は「文書主義」であるとの指摘が度々ありますが、それゆえに、請願・陳情に対し拡大解釈をして採択されない、そもそもの問題で「どういう意図かわからない」という理由で不採択にされることがあります。だからこそ趣旨説明が必要であり、請願・陳情者の意図を直接聞くことにより、現実的な判断が行えると考えます。

次に、インターネット中継については、すでに多摩26市中20市が行っており、他の自治体から遅れをとっている状況です。委員会や特別委員会は早急にインターネット配信を行うべきです。また、議事録の速報版作成については、実施自治体ごと公開までに要する時間は異なりますが、現在の三か月後より早く公開される必要があると考えます。そしてインターネット中継ができるようになれば速報版は不要になり、期間も限定的です。取り組むべきと考えます。

次に、公的視察につきましては、市民の皆様の貴重な税金が使われている以上、市民の方々から納得いただけるような議会、議員活動でなければいけません。「誰がどのように評価するか疑問であり、現実的には難しい」という意見がありましたが、何のための公的視察なのでしょうか。目的や必要性を今一度議員同士で確認し合い、事前勉強をし、今後の政策に視察がどう生かせるか話し合い、視察後に調査結果についてどのように施策に反映できるか議論を深め、その結果を市民の方々にきちんと報告していくことが、現実的には難しいことなのでしょうか。当たり前にすべきことと考えます。

次に、政務活動費の活用状況の公開はもっともなことであり、市議会のサイト上で実施していくべきです。

以上の理由によりこの陳情は採択すべきものであると考えます。住民にとって身近であるべき議会に、住民の関心と理解が得られない状況は地方自治、住民自治の根幹にかかわる深刻な問題です。

今一度、市民の方々から選ばれた議員の役割とは何か、市民に開かれた議会にするために議員がすべきことは何か、しっかりと考える必要があると意見し、日程第30、陳情第11号「市民に更に公開された議会への改革を求める陳情」についてみらいネットワークを代表して委員長報告への反対討論とさせていただきます。