「都市農業のいま」:各地で食を守る仕組みをつくる
日本の農業・都市農業の現状について知り、
どのように地域で取組みをしていくか考える、生活クラブ生協のフォーラムに参加しました。
講師は、農業ジャーナリストの榊田みどりさん。
これまでは、消費者が生産物を食べ支えることで
生産者を支える運動を展開していた生活クラブですが、
・ロシアのウクライナ侵攻の影響
・そうした国際調整の問題のみでなく、円安でもある状況
・生産資材が高騰しても、それに応じた生産物の価格上昇が見込めず農家は赤字
・農家の高齢化が進むなか、上記の状況では後継者もなかなかみつからない
等の農家を取り巻く環境は過酷です。
実際に、農水省が法律見直しの中間とりまとめとして本年3月にだした「食料・農業・農村基本法の見直し県等について」の資料によると、
基幹的農業従事者は、2000年と比較してもこの20年で半減。
また年齢構成をみると、70代以上が7割(60代以上でも8割)。
さらに、2020年農林センサスによると現農業者の約7割が後継者がいないのが実情。
また、少ない農業経営体で農業生産を支えるため、法人化し規模拡大というものの、農水省資料によれば、慢性的な労働力不足の状態です。
さらに、ガソリン代高騰だけではなく、2024年問題により人件費も高騰し、広域流通のコスト増になる恐れもあります。(2024年問題とは、ドライバーについても労働時間の上限が設けられ、年間2000時間を超える労働時間の上限が今後960時間が上限になる問題。)
とくに首都圏は自給率が低く、ライフラインがストップすれば危機的状況。
まさしく私たちが、自ら食と暮らしの安全保障のためにできることは何か考えねばならない時代です。
自治体や地域JAに、地域住民を多様な農業人材として育て、都市農業者とマッチングする仕組みづくりなど求めることを考えていくべきと提案がありました。
実際に、各地で農に関わる人を増やす取組みが行われはじめており、
神奈川県秦野市とJAはだのが進める、農の担い手の育成、販路確保支援、地域の農家と非農家の繋がりづくりや地域活性化の取組み、
神戸市のネクストファーマー制度の取組み等事例紹介がありました。
世界的には、欧米の都市では、農産物供給の観点だけではなく、
・ジャンクフードが蔓延し貧困層ほど野菜にアクセスしづらい健康問題(食へのアクセスの公平性)
・環境・景観保全
・コミュニティづくりなど
社会問題の解決法として、公共としての農業の必要性の認識の共有がなされており、市民が農地をつくり耕す取組みをする都市もあるそうです。
2015年から都市農業振興基本法ができ、市街化区域の生産緑地を残していこうと国が変わりましたが、
都市農地の所有者である農家が残していいという環境を私たちがつくる、
そして、行政やJAとの連携を認識しながら農業との付き合い方を考える必要があることを指摘くださいました。
その後、学校給食への地場野菜納入率の高い町田市相原小学校の
栄養教諭、農家、学校とそれらステークホルダーを円滑に繋ぎ、取組みを継続させるボランティアコーディネーターの連携の事例について発表がありました。
農地保全は、農家にお任せではなく
様々な問題解決とかけあわせて各地で真剣に考える必要があることを再認識しました。
都市農業については、過去議会質問でも取り上げましたが、
https://hayashimaiko.seikatsusha.me/blog/2022/12/11/2407/
昭島では現状を踏まえながらどのような提案ができるのか、引き続き考えます。