講演会「校則をなくした中学校 西郷孝彦先生のおはなし~子どもが今を幸せに生きるには」に参加しました

世田谷区立桜丘中学校 西郷孝彦元校長が、生活クラブ生協まち青梅の企画で講演なさると聞き、参加しました。

【まずは、こどもの命を守る】
厚労省の発表する子どもの自殺者数が過去最多ですが、交通事故より自殺者が多く、
この数字は国際的比較しても非常に高いもの。

10代の自殺者が多い日は、9月1日と長期休暇明けの日。
たかが学校、されど学校であり、不登校・ひきこもりは命に関わる問題になることがある。
生きて楽しく過ごしてくれていれば、それ以上のことはありません。

子どもの命を真ん中に据え安心して過ごせる場所を家庭、学校、地域でつくる必要があり、
文科省も校内に何でも話せる大人をつくる方針を示しているなか、
桜丘中学校では、9月と、受験期に追い詰められる時期である12月に、放課後に生徒が自分の好きな先生を選び15分自由に話せる「ゆうゆうタイム」の事例を紹介くださいました。

【全ては「幸せ」の後についてくる】
桜丘中学校の教育目標は「すべての子どもたちが3年間を幸せに過ごす」。
勉強ができるできないは重要ではない。

【ユニバーサルデザインの考え方】
桜丘中学校では、廊下の机や椅子は座りたくなるつくりにしたそうです。
学校に来なければ手が届かなくなるが、きてくれれば、教室に入らなくともこっちのもの。

・遅刻をとらない=遅刻がない(法律に遅刻をとる根拠がない)
・制服は着なくていい
・いつ帰ってもいい

など他にも取組みを進めた理由は、ユニバーサルデザインの考え方によるもので、
特別な配慮が必要な子どもたちにとって過ごしやすい環境は、すべての子どもたちにとっても過ごしやすいから。困っている子がいれば、解決する環境をつくったとのこと。

学校や社会はマジョリティ仕様で、学校の先生がそもそも特権階級。
ダイバーシティ教育や多様性との対話が必要です。

【雰囲気を大切に】
やりたいことを徹底的にやらせるため、
・兼部OK
・放課後には、英検サプリ、放課後のボーカルレッスン、放課後の料理教室、夜の勉強教室、炎のギター教室
・生徒会企画のゆかたの日
など地域の力も借りながら、様々な取組みを展開なさったそうです。

【不登校の現状・原因】
相互的な対人関係、コミュニケーション、興味や行動の偏りなど、発達特性のある子が多く、
生意気、空気が読めない、ルールが守れないなどで年中怒られ、二次障害として不登校に。

特性への理解をし、環境を調整して生きやすい環境をつくるべきだが、校則が邪魔をするため、生活指導主任に校則の意味を問いかけ続け、最終的に生活指導主任の判断で校則をなくしたそうです。

また、聴覚過敏は40人中2~8人いるといわれているが、聴覚過敏にはチャイムの音が辛い。
そのため、自分で時間を管理するノーチャイムも実施。

殆どの先進国は、社会に環境を整えれば障がいはなくなるとしているが、日本は国連から3回勧告を受けてもまだ取組みがすすまない。そうではなく、育つ環境をつくる。

それでは、どのような学校になってほしいか?
基盤とすべき考え方は、
・多様性の受容、尊重「みんな違ってみんないい、みんな違うほうが面白い」
・愛情をもって生徒に接する
・一人ひとりを大切にし、子どもとともに生きる

最後は、Enjoy Difference, Enjoy Diversity!のスクリーンでおはなしが終わりました。

その後は、
・NPO法人フリースペースロビンソン
・ころりん村幼児園
・NPO法人青梅こども未来
関係者とのトークショーがあり、
参加者からの質疑応答の時間がありでしたが、
すべての回答が、考え深かったです。

子どもの育ちで何が大切なのか
日本のこれまでの幸せ像を追い求めて本当に幸せになれるのか
当たり前とされているものは、本当に意味あることなのか
マイノリティも生きやすい環境を学校でどのように調整していくか
常に疑いながら、よりよい試行錯誤をできるか
と、根本的な、しかし、非常に重要な問いかけを、様々な実践例交えておはなしくださいました。

必要な仕組みづくりももちろん大切ですが、
いま社会を構成する人の意識が変わることも大切。

足をとめて考える大人が周囲に少しづつ、でも着実に増えるよう
私は地元で何ができるのか、考えてゆきます。