【討論】2024年3月議会:令和6年度昭島市一般会計予算

 日程第9議案第4号令和6年度昭島市一般会計予算についてみらいネットワーク会派を代表し、意見を交えながら賛成の立場で討論致します。

 世界的にも人災や自然災害がとどまる所をしらない2024年の幕開けになりました。戦況が泥沼化するロシア・ウクライナ、イスラエル・パレスチナについては、人々がなす術もなく命の危険にさらされ生きる尊厳を奪われ、環境破壊も生じている状況は到底看過できません。核兵器をめぐる脅威もあるなかで、今こそ日本は外交力を駆使して核保有国と非核保有国の橋渡しに努め、核廃絶の実現に向けた主導的役割を果たすべきです。また、国内においては、能登半島地震で大切な命をなくされた方々とそのご遺族に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災された方々についても、1日も早く平穏な日常が戻られますよう心よりお祈り申し上げます。

 さて、2024年は介護保険の報酬改定が行われる年ですが、厚生労働省は、介護報酬全体1.59%アップした一方で、すべての訪問介護の基本報酬は平均2.4%引き下げる決定をしました。訪問介護員の処遇改善に当てる加算率は上げるため、報酬アップになると謳ってはいますが、加算申請の事務作業増加も大きな負担になる上、最高位の処遇改善加算を取ったとしても収入がマイナスになる試算になり呆然としたと、悲嘆にくれる声も市内事業者から届いています。そもそも国が報酬引き下げの根拠とした収支差率の黒字については、住宅型施設にサービスを提供している一部の訪問介護事業所の収益率が高いとの指摘もある状況です。

昨年8月30日開催の社会保障審議会・介護給付費分科会の資料によれば、約8割の事業所が訪問介護員の不足を感じており、訪問介護職の有効求人倍率は約15倍です。また、公益財団法人介護労働安定センターの令和4年度介護労働実態調査結果によれば、7割の事業所では65歳以上の労働者を雇用しており、さらに65歳以上労働者の比率は訪問介護員が26.3%で最も多い状況です。市内の訪問介護事業者の状況も決して例外ではなく、ヘルパーの人手不足は非常に深刻であり、高齢化も進むなか、サービス提供時はもちろん、悪天や猛暑日などの移動も身体にこたえると伺います。小刻みにされた報酬単価のなかで日々奮闘しながら、なんとかサービスを継続して頂いている状況です。

今回の改定内容では、ヘルパー不足にますます拍車がかかり、コロナ禍や物価高の社会状況でも、利用者や家族本位の手厚いサービスを懸命に提供し、在宅介護を支えてきた小規模事業者ほど、事業継続が困難な状況になることは目に見えています。このことにより、40歳から介護保険料を納める我々についても、今後必要なサービスを必要なときに享受できず、独居や老老世帯はたちまち介護難民となることは容易に想定ができ、介護保険制度の根幹まで揺るがしかねません。さらには、1人の人が複数の家族・親族をケアする多重介護や、仕事とケア・子育てとケアが重複(じゅうふく)するダブルケア、さらにはヤングケアラーなど、訪問介護を利用してもなお自身の睡眠や生活時間を削っているケアラーがさらに苦しい状況に追い込まれ、その人らしく人生を送ることが難しくなる事態を非常に懸念します。

なぜ、いま訪問介護基本報酬引き下げなのかと、全国から抗議の声があがっていますが、国民の暮らしを守る改定ではないことに、強い憤りを感じます。「介護の社会化」「住み慣れた地域で高齢になっても安心して暮らし続ける」国の方向性とも全くもって相反するものであり、国民の約5人に1人が75歳以上の超高齢社会となる2025年も目前に迫るなか、早急な見直しが必要であると強く抗議します。

 他にも国政においては深刻な問題が山積しており、国民は、人生の最期まで自分らしく安心して暮らすための、最低限の公的セーフティネットが機能している実感を持てないなかで、地方自治体の役割はますます重要になります。しかし、現在示される地方自治法改正案では非常事態に限り国が地方自治体に指示権を持てる内容であり、2000年の地方分権一括法により国と地方公共団体が対等協力の関係とされたことを大きく変容させ、地方分権の趣旨や憲法の地方自治の本旨を違える懸念があります。地方自治体においては、地方自治法改正案はじめ諸課題に対し、あらゆる手段を講じて国におかしいことはおかしいとこれまで以上に強く訴えるべきと冒頭申し上げます。

 さて、昭島市次年度予算については、市長の施政方針演説、教育長の教育施策推進の基本的な考え方、代表質問、一般質問、予算要望への回答、各委員会における質疑などを参考に、慎重に検討させて頂きました。みらいネットワーク会派としては、予算には賛成するもののいくつかの意見を述べさせていただきます。 

 まず、昭島市誕生から70年の本年度総予算は、775億7,600万円超と過去最大規模であり、予算執行に対する事業も多岐にわたりますが、住民の福祉の向上を基本とする市の行財政全般の業務と、さらなる住民サービス向上を担うのは市役所の職員です。職員の経験者である市長も常々「職員は市民の宝」と公言していますが、職員が自信を持ち働くことのできる職場環境の改善・充実は必至と考えます。職員の賃金アップや会計年度任用職員の期末勤勉手当支給を高く評価します。一方で、職員のワークライフバランス対策には懸念を抱いています。私たちみらいネットワーク会派は、これまで年休取得率向上、時間外勤務、メンタルヘルス、職員の健康診断における有所見率の高さなど対策を訴えてきましたが、大きく改善された状況にはなっていません。特にメンタルヘルス疾患数が、23年度で35人、休業日数ともに増加している実態に衝撃を受けています。予算審査特別委員会でも指摘しましたが、これらの改善とワークライフバランス実現には、行政側と職員団体との相互理解と協力が必要であり、労働安全衛生委員会の積極的活用もはかることが、市民サービスの向上に繋がると確信し、意見します。また、市長の「サービス残業は今後一切行わない」との力強いメッセージを評価し、共感していますが、全職員に徹底されるよう意見します。 

 次に、長引く物価高騰で市民生活は一層逼迫しています。とくに高齢期は、物理的に働いて得る所得は減る・あるいはなくなり、安心して暮らすための支援策が欠かせません。そのようななか、高齢者の生活の質を維持し、社会参加の促進まで視野にいれた補聴器購入費補助を評価します。

 また、社会保険制度については、東京都広域連合として後期高齢者医療の保険料値上げを決めた一方、昭島市においては、国民健康保険については保険税率の改定及び賦課限度額の引き上げを見送り、さらに介護保険料については保険料の基準額を引き下げたことは、市民の暮らしを守るために、今このとき必要な決断であったと高く評価します。冒頭述べたように、高齢者やそのケアラーの暮らしを支える介護事業者をとりまく状況を改善する必要が自治体としてもあることは明かであり、現場から強く要望を頂く初任者研修の実施等、事業者への支援策も速やかに検討・実施すべきと意見します。

 また、単身の高齢者女性については、厚生労働省の2021年分国民生活基礎調査をもとに東京都立大学教授が65歳以上の1人暮らしの女性の相対的貧困が、44.1%にのぼると発表しました。現役世代のひとり親世帯の相対的貧困は44.5%であり、同水準の深刻な状況です。4月から困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が施行されますが、女性視点からの各種施策の検証と、必要応じた再構築が基礎自治体においても必要であると意見します。

 その他の物価高騰対策のひとつとして、公立小・中学校における学校給食費の無償化、保育施設等の給食における食材費・光熱費、及び保護者が負担する給食費に対する補助を高く評価します。2021年分の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、日本の子どもの相対的貧困率は11.5%であり、無償化は子育て世帯の負担軽減のみならず、子どもに直接支援が届く点からも有意義です。今後については、給食の質も引き続き担保すること、また、様々な理由で給食を食べていない家庭に対し公平性の観点からの支援策の検討にも期待するとともに、学校給食費無償化の自治体間格差が生じている状況は本来あってはならず、国がその財源を負担するよう継続して伝える必要があると意見します。

次に、昨年11月29日横田基地所属のCV-22オスプレイが鹿児島県屋久島沖で墜落し、米軍は昨年12月7日からオスプレイの全機種の運用停止措置を発表しました。2ヶ月後の2月6日、米国防省が墜落事故を引き起こしたオスプレイの「機器故障を特定した」と報告・公表し、3月8日、米軍はこの運用停止措置を解除すると発表しました。事故調査は現在も行われているにもかかわらず、墜落事故原因を「特定の部品の不具合発生」と公表しました。しかし、その内容も明らかにせず、米軍の運用再開報告を防衛省が丸のみする形で、昭島市などに説明に廻りました。到底納得できるものではありません。今回の墜落機そのものが、日常的に昭島市や周辺の市街地上空で危険な訓練を繰り返していたオスプレイであります。墜落場所が不幸中の幸いで海上でしたが、基地周辺の陸地、つまり昭島市周辺で墜落しても決して不思議ではないことが明かになり、私たちの懸念・指摘が現実になってしまいました。市民からは「私たちが事故に巻き込まれる」「いつ私たちの周辺で墜落してもおかしくない」犠牲にされたくない」などの不安の声が寄せられています。昭島市議会も、横田基地周辺5市1町連絡協議会も、飛行再開に関する意見書・要請文などを防衛省に提出しています。オスプレイは2013年以降これまでに、日本国内で胴体着陸1件と緊急着陸27件、部品落下等の事故を11件も発生させている現状からも異常な危険が明かになっています。改めて私たちみらいネットワーク会派は、事故原因の徹底解明とその詳細を公表し、実効性ある安全対策と、事故原因調査終了まで飛行再開を行わない旨、市独自でも国に求めて頂くよう意見します。また、横田基地上空では高高度からの物資や人員の危険なパラシュート降下訓練は何度も誤投下事故を引き起こしています。上からの落下を防ぐのは不可能であり、避けられません。このような危険な投下訓練は行わないこと、祝祭日を含めさらに時間に関係なく爆音をまき散らすF35BやF18などの横田基地飛来訓練を止めること、最低でも日米地位協定、横田基地運用にあたっての日米合意事項の厳守を国に求めるよう意見します。

 次に、GLP昭島プロジェクトについては、依然として市の各種計画と整合性がとれない事業者の計画内容であることは大変大きな問題です。1月30日に東京都環境影響評価条例に基づき、評価書案が公示されましたが、予防措置をとってもなお、人間や生き物の生活が脅かされることが必至な内容です。一番の問題は、1日あたり片道5,800台の発生交通量であり、縮小を強く求めるべきです。今後は、地区計画策定の取り組みも最大限活かしつつ、まちづくりのパートナーである市民はじめさまざまなステークホルダーとたゆまぬ対話をしながら、市がまちづくりの基本理念として掲げる、「人間尊重」「環境との共生」を実現し、最終的には市民の安全安心、生き物保全、地球環境保全を図ることは、次世代への行政の責務でもあると意見します。

 次に、子ども基本法に基づき子ども施策を総合的に推進するため、昨年12月にこども大綱が閣議決定されました。このなかで、こどもまんなか社会とは、「全てのこども・若者が、日本国憲法、こども基本法及びこどもの権利条約の精神にのっとり、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、ひとしくその権利の擁護が図られ、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる社会」とされました。市においては、これをしっかり踏まえて今後司令塔機能を備えた組織が、部署横断的に子ども施策を点検し、子ども・若者のウエルビーイングを達成しなければなりません。これらを実現するには、私たちが一貫して訴えてきた子どもの権利条例の制定をされるよう改めて意見します。

 また、保護者の就労が当たり前になり、子育て家庭の孤立化が進むなか、子どもの居場所の充実が喫緊の課題です。令和5年度実施の市民意識調査では、子育てしやすい環境を作るために必要だと思う施策の1位は、「保育所、児童館、学童クラブなどの施設の充実」であり、63.5%が必要と回答しました。一方、学童クラブ及びなしのき保育園の一時預かり保育事業における支援員・保育士不足にはじまり、現場は危機的な状況です。子どもが安心して過ごす場の確保には、まず関係者が安心して働ける就労環境整備が必須です。また、次年度は民間事業者が新たな学童クラブを開設し、一部学童クラブの運営も同事業者に移管されますが、どの居場所においても、子どもの権利に根ざした保育がなされることを市が保障すべきと指摘します。また、なしのき保育園の老朽化や周辺の環境問題なども鑑みて、今後の社会福祉事業団のあり方について、検証・再考の時期にきていると意見します。

 次に、学校教育については、スクールロイヤーの導入、みらいネットワーク会派がかねてから訴えてきたスクールソーシャルワーカー増員を評価します。一方、水泳指導民間活用事業については、次年度取り組み校が増えますが、長期的に考えて市内全小中学校実施が不可能である場合、未実施校に対する環境整備を確実におこなうよう意見します。また、学校教育現場においては、子どもの権利を周知徹底しながら確実に実践すること、教員の働き方改革を教育現場を支援する人材拡充や地域の力も得ながらおしすすめるべきことを意見します。

 次に、予防接種事故対策事業については、新型コロナワクチンの予防接種健康被害救済制度に7名の市民が申請、4件認定された状況であることが分かりましたが、国の疾病・障害認定審査会では、新型コロナワクチンの請求認定が数多くあり、今後も動向を注視すべきです。また、HPVワクチンについては、男性への接種に取り組む自治体もありますが、今月14日、厚生労働省の専門家委員会では男性の定期接種は費用対効果に課題があるとの見方を示し当面見送りとなりました。さらに、2月19日付け国の審査会では、HPVワクチンについても4件の疾病・傷害認定があった状況を鑑みて、ベネフィットに偏らずリスクについての情報提供もすべきと意見します。

 以上、何点かの意見を述べさせて頂きましたが、もっとも市民に近い基礎自治体として、市民に最大限の情報共有・情報公開をし、市民参画の機会をさらに充実させ充分に意見を聞き、市民と行政と市議会が対等な関係で知恵と力をだしあいながら地方自治を推進する必要があると最後に意見として申し上げ、本予算に対する賛成討論といたします。