公立小学校での国際バカロレア導入:高知県香美市立大宮小学校視察

◆国際バカロレア(IB)教育の視察
ジュネーブに本部がある国際バカロレア(IB)機構が提供する、
探究の学びを基盤とした国際的な教育プログラムである、IB教育。
この教育手法を、国内の公立小学校ではじめて導入した
高知県香美市大宮小学校を、青山秀雄議員と視察させていただきました。

年間何十件もの視察を受け入れているとのこと。

私たちが伺った日も、公立校でのIBの導入が決定した他自治体の教育委員会や学校関係者約30名、
県教育委員会、大学関係者など様々な立場の方々が大勢訪れていらっしゃり、
これから求められる教育手法のひとつとして非常に注目されていることが分かりました。

(※IB教育は、その目的を
「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良いより平和な世界を築くことに貢献する、
探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成」としていますが、以下URLが分かりやすくご参照ください。
https://toyokeizai.net/articles/-/444628?display=b )

◆なぜIB教育?
香美市では、生涯にわたり学び続ける人材育成を実現するにあたり、
教育理念の真ん中に「探究」をおきました。

探究には地域の協力が欠かせないと地域をフィールドに子どもたちが学んでいくため、
学校運営協議会、地域学校協働本部の仕組みも用いながら地域との連携・協働に取り組んでいます。

一方で、社会が変化しており、従来の正解を求める教育から脱却し変化に対応する必要性があるとの認識があったなかで
オーストラリアのIB認定校視察が転機となったとのこと。

ひとつの教室内に
ペアで学びたい、一人で学びたいなど
子どもたちが選択できる多様な環境設定がされている上で、
先生が必要に応じて子どもたちを集めて方向性を確認するなど、
日本のオーソドックスな学びの風景とは非常に異なる様子に、まず衝撃を受けたそうです。

香美市の教育とIB教育の整合性を確かめた上で
IB教育で香美市の教育理念を実現する覚悟を決め、
○予算確保(1校約140万円かかるが、企業版ふるさと納税も活用)
○教育の働き方改革
○教育の質の担保
の3つの壁を乗り越え、導入されました。

◆授業の様子
実際に授業をみると、どのクラスにも前面にIBの10の学習者像
(探究する人、知識のある人、考える人、コミュニケーションができる人、
信念をもつ人、心を開く人、思いやりのある人、挑戦する人、
バランスのとれた人、振り返るができる人)がはりだされており
目指す姿に常にたちもどる工夫がされていました。

また、教科の枠を超えた6つのテーマ
(私たちは誰なのか、私たちはどのような場所と時代にいるのか、
私たちはどのように組織しているのか、世界はどのような仕組みになっているのか、
この地球を共有するということ、私たちはどのように自分を表現するのか)があり、
各テーマについて、さらに学年ごと、目指す具体的テーマ設定がされています。

例えば、2年生は「この地球を共有するということ」のテーマでは
「私たちは自然の恩恵と脅威の中で生きている」という具体的テーマについて
理科・国語・算数を関連教科とし、学んでいました。

自分たちで野菜を育て、自然の恩恵を感じる体験をするなかでも
途中鳥に食べられる等々の脅威もあったとのこと。

それらの脅威に対し、大人に言われて対処するのではなく
自分たちで本を読み考えてかかしをつくる、光り物をつるすなど対策をとり、
それでも問題が生じれば栽培に詳しい地元の方をお招きしさらに対策を練ったそうです。

地域の方々とも協働して
探究する、生きた学びが展開されており、
子どもたちの授業参加も非常に活発でした。

あるお子さんがみせてくれた「やさいのそだてかたブック」なるアウトプットには、
野菜の成長記録に加えて
数ページにわたりそのお子さんが考えた恩恵と脅威が書かれており、
自ら学び考える、探究の深さに驚きました。

◆導入しての意義
IB教育が地域にもたらす価値として以下もあげられていました。
○教育的価値
探究的な学び、地域資源の活用、国際的マインドセットの形成
○社会的価値
人口流入効果、世代間交流の活性化、地域魅力の発見と発信

例えば、6年生は、「エキシビション」という
自分の興味関心に基づいた探究活動の6年間の集大成に取り組むそうですが、
担任だけではなく、校長含め他教員みながメンターとなり、
地域サポーター(地域の方々が2週間に一度のメンター会で子どもたちを支える)も底支えしているとのこと。

地域総出で学校を核とした探究活動が展開され、学びの裾野が拡がっていることが分かりました。

ユニークなのは、先生がたによるエキシビションもあり、
例えば、剣道、ジャイアンツ、ヴィンテージTシャツなど多様なテーマでの発表があるとのこと。

もと保護者に大宮小学校の学びについて伺う機会も別途ありましたが、
先生がたによるエキシビションも大変盛り上がるそうです。

教育のもつ力を最大限発揮している大宮小学校の学びが私たちに示唆してくれるものは多岐にわたりますが、昭島ではどのような提案ができるか考えてまいります。

視察のお受け入れ誠にありがとうございました。