2020年12月定例会一般質問 ①一人ひとりが大切にされる社会を実現するための性教育について

【質問にいたった経緯

インターネットが普及し、歪んだ性の情報に幼少時からアクセス可能な社会状況です。あわせて性犯罪・性暴力が増加していますが、子どもから大人まで性について公教育で教えられてきていません。

国際的な性教育の指針となっている国連の「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」は5歳からを目安に、段階的に正しい知識を教えることが、子どもの心身を守り、健康と幸福を促進し、人権と男女平等を尊重するとしています。日本では教育現場での性教育の取り組みにバッシングが起こることすらあり遅れているといわざるをえませんが、一人ひとりがそれぞれの人生を自分のものとして豊かに生き、自他ともに大切にされる社会を実現するための性教育です。

東京都教育委員会の改定「性教育の手引き」では、外部講師招聘の手法が明示されているところ、子どもたちにより適切に教えて頂けるだろう外部専門家による性教育授業の実施可否を問いました。

【市の答弁】

学習指導要領に基づき発達段階に応じて性教育を進める。

まずは、東京都教育委員会性教育実施校の指定を受けた中学校1校での、産婦人科医会による講話をおさめたDVD鑑賞の効果を校長会で共有し、授業実施につき研究する。

【答弁を受けて】

・平成30年に東京都教育委員会が中学校への性教育実施状況調査をしたところ、外部講師活用が効果的と回答した校長は89%。現場の声も聞くべきです。専門家は適格に教えられ、学習指導要領上教員からは教えづらい内容も扱えます。

また、厚生労働省の「衛生行政報告例の概況」によると、日本の10代の中絶件数は直近で年間約1万4千件。妊娠にいたるには様々な背景があるかとは思いますが、無知であることが原因で中絶、また性犯罪、性被害等発生することは、子どもの責任ではなく大人の責任。こうした事態をいかに避けられるか尽力すべきです。

・こうした実態とあわせて他市の動きをみてみると、例えば今夏、昭島市と同様に、東京都助産師会北多摩第一分会の要望書をうけた国立市教育委員会では、専門家による性教育講座実施に向けて早速動き始めたようです。

また、国レベルでは、内閣府が「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」のなかで、「性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を踏みにじる行為であり、心身に長期にわたる深刻な影響を及ぼす。子供を性暴力の当事者にしないための生命(いのち)の安全教育を推進する。性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、学校教育がより大きな役割を果たしていくことが必要」としています。

・昭島市男女共同参画プランでは、学校教育における性教育の推進を掲げています。現在学校教育では取り組むべき事柄が多いとは思いつつ、地方自治体として、現代の社会状況と照らして対策できることは何か考え、様々な工夫をこらしてぜひ外部講師を招聘しての性教育実施を検討頂きたいです。

・また、成人については、今からでも守れる人権や健やかさのためリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する権利)の概念の周知啓発を求めました。

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なお、今秋、昭島市の子どもと親の家庭教育講座の制度を用いて、市民団体が助産師による親子向けの性教育講座を開催したところ、広報あきしまに掲載された時点ですぐに満席になり、キャンセル待ちは約100名にのぼったそうです。性について親子で学びたいという市民ニーズの高さを非常に実感したところ、例えば必要応じてPTAの力も借りて地域まるごと意識を高める気持ちで、「保護者も参加可能な外部専門家による性教育授業の全校実施」を訴えたかったですが地域に言及するところまで到達できず。

既存の相談体制の整備とあわせ、「自他の権利を認識しトラブルを根本から絶つための性教育」を地域でできるだけ幅広に進めてくださるよう今後も求めてゆきます。
※動画は、以下の昭島市 市議会のHPよりご確認頂けます。議員1人の持ち時間は60分。1回目の質問は35分ごろまでで、その後、一問一答の再質問にはいります。

https://smart.discussvision.net/smart/tenant/akishima/WebView/rd/schedule.html?year=2020&council_id=32&schedule_id=1