昭島駅北口大規模開発:生き物とその環境についての学習会に参加しました
昨日は、昭島巨大物流センターを考える会の第4回学習会に参加しました。
今回のテーマは、生き物とその環境の問題について。
◆まずは、麻布大学元教授 高槻成紀さんが、「昭島地区の開発と玉川上水の自然~花マップの調査から~」についておはなしくださいました。
玉川上水の植物は、時代ごとの人間の考えや各地の管理の仕方で植生が常に変化しているため
現時点での植物を記録する意義があると、
2017~2019年の野草の分布を高槻さん方が記録・作成された花マップはとても魅力的です。
記録作業を通じて分かったことは、
武蔵野の雑木林に生える野草が玉川上水のレヒュージアとして生き延びているが、
上木がない場所では茅場(ススキ群落)の野草があり
こうした異質性が玉川上水の多様性を生み出しているということだそうです。
現在は自然保護の考えが根付いているかというと決してそうではなく、
最近でも、小金井市でケヤキの木がすべて切られたり
小平市でも多くの木が伐採されそうになったとのこと。
(小平市の伐採予定の木については、根拠があれば切らないとのことで、
調べてその根拠を示したところ100%受け入れられたそうです。)
伐採により、林床に生える野草が失われます。木はなるべく切らないことの意義についておはなしくださいました。
守るべきは、植物だけでありません。
生き物についても同様です。
高度成長期に暗渠になった、下流の杉並の浅間橋の事例を共有下さいましたが、
蓋をして道路ができたこのエリアの鳥類は、
森林に住むものはじめ減少したそうです。
今回の物流センター開発予定地については、
現在は代官山をはじめ近隣にも緑があり連続性があるが
物流センターができることで、壊滅的な影響を受けるのではないかということを指摘なさいました。
考える視点として提起なさったことは、
大都市で30Kmにおよぶ自然が残っている玉川上水は世界にもまれな都市自然であるが、
この限られた自然を次世代に引き継ぐ努力をするよりも
人間の利便性を追求する形の開発を推し進めて果たしてよいのかということ。
私もその通りだと思います。
◆次に、小平ちむくいの会代表のリー智子さんが、市民活動への取組みについておはなしくださいました。
リーさんは、生物多様性から玉川上水の大切さを考えるという視点から
子どもから参加ができる様々な企画を設けられていました。
紹介くださった企画は
石器時代を知ることで玉川上水を捉える企画にはじまり
高槻先生による、虫、木の実、草の実、種等観察する子ども向けの企画、
玉川上水で変形菌を探す企画、
クモの観察、用水路の生き物観察、映画撮影とその上映会等々
どれも気軽に「参加したい!」と思えるものでした。
楽しみ、体験をしながら、生き物や玉川上水の意義を考えることに
自然と繋がる、裾野を拡げる企画があることは大切ですね。
生き物を知るほど玉川上水の価値を再認識でき、
また、企画実施を通じて価値観を共有しながら繋がりをつくっていけることの意義についておはなし下さいました。
◆最後に、NPO法人自然環境アカデミー代表理事、山階鳥類研究所鳥類標識調査者の野村亮さんが「フォレスト・イン昭和館北の森の鳥類調査」についておはなしくださいました。
野村さんは、2010年~2021年までのべ26日間
フォレスト・イン昭和館北の森の鳥類調査に関わられていたところ、
年間を通して、あるいは冬季、春・秋の渡り時期にどのような鳥が調査網にかかり標識調査をしたかの結果を
共有くださいました。
質疑応答のなかで、調査開始時に比べると建物が増え周辺の自然環境も変化したことで、
草地性の鳥は感覚として非常に減ったのではないか、
また、今後ゴルフ場がなくなる影響については、森さえあれば生き残れる鳥もいれば、ゴルフ場などの周辺環境があることで生息できる鳥もいることを指摘なさっていました。
なお、野村さんは、フォレスト・インからの依頼で
毎月第3日曜、8:00~、9:30~の2回、1回45分程度
北の森の散策をなさっているそうですが、宿泊客でなくとも参加可能とのこと。
私も参加してみたいと思います。
◆昨日ご講演予定だった長谷川博之さんについてはご講演時間が残らず、
次回9月17日(土)16~18時の学習会で
弁護士の田所良平さんとともにおはなしをしてくださるそうです。
今後の昭島巨大物流センターを考える会の予定は以下の通りです。