公民館主催社会文化セミナー「ひきこもる心を知る~誰もが取りこぼされない社会へ~」に参加しました

公民館主催社会文化セミナー「ひきこもる心を知る~誰もが取りこぼされない社会へ~」に参加。

25年にわたり、数千人にひきこもり当事者の取材を続けられている、ジャーナリストで、KHJ全国ひきこもり家族会連合会広報担当理事の池上正樹さんが講師でした。


◆2回連続講座で、初回のテーマは「ひきこもりの現状とひきこもる心を理解する」

内閣府の調査では、全国推定115万人のひきこもりの方々がおり、その要因は多様化複合化。

ひきこもり実態調査が行った自治体もありますが、江戸川区で実施・本年公表した結果では、
40代が最多(17.1%)、ひきこもり期間3年未満(44.9%)で、女性が半数を超えた(44.9%)特徴があり、コロナ禍で雇用をきられやすくなる弱い立場の方がひきこもりになっていることを推測。

また、本人の6割以上、家族の半数程度が今まで相談をしたことがなく生きる希望を失っている状態。
先生が数々の事例を紹介してくださいましたが、苦しかったです。
(紹介事例のひとつのヤフー記事です →
https://news.yahoo.co.jp/byline/masakiikegami/20220105-00275718?fbclid=IwAR3duTp8So9iLajSKlgOq2jZ632vZvTf_MA5aaxRNIZUkweGH5kDUOXlvc8

この他にも、東日本震災時に、避難所生活で人と関わることが怖く、津波がきても避難できずに家ごと流されたひきこもりの方のこと等々おはなしくださいました。)

ご本人はもちろん、支えるご家族も不安や苦しさがあって当然でご家族を支援する発想も必要
そもそもひきこもりの方が安心できる居場所が家であり外にでることは本人の生存領域を脅かすこと。
どんなにひきこもっていても本人たちは成長しており、甘えている、怠けている、自立すべきという認識を社会で変える必要があることの大切さや、相談体制の整備も教えて頂きました。

また、例えば子ども時代に学校へ行きたくないなどの気持ちになったとき
周りの大人がどの顔色をみているか、子どもに向き合えているかを当人はとてもよくみているとのこと。
学校が安全安心でないならば、そこを本質的に解決せねばならない。
苦しい登校体験があると、過去のトラウマ体験が大人になってからフラッシュバックし
先生の捉え方としては、不登校が原因でそのままひきこもりになるわけではないが、
大人のひきこもりの起因は学校時代の体験に遡る人が多いことも述べられていました。

ひきこもりは本人が原因ではなく、人権が大切にされず不寛容であったり、弱い立場の方が救済されない社会構造が原因であることを強く実感した講座。

第2回目のテーマは「ひきこもる人たちの多様な生き方」
今回は、各所にある居場所や働き方の事例、在宅医療・介護連携アウトリーチの必要性のその事例など紹介くださいました。

例えば、居場所のひとつ、ひきこもりフューチャーセッション「庵」では
発言しなくていい見学席、休憩室も設けながら、安心して対話できる場づくりをし
その結果、ひきこもり新聞、ピアサポート、就労にまで繋がるひきこもり大学等当事者が関わる取り組みが展開されています。

他にも、ハイブリッド型居場所を設ける江戸川区、
ZOOMでは緊張するが仮想空間では緊張しない方のためのメタバースの居場所をつくる京都、福岡などの事例も紹介されていました。

表紙からデザイン、記事、漫画まで当事者が参加し、その意見を生かした紙面づくりをしながら報酬を支払うことで、得意な表現力で働ける場を試行錯誤なさるKHJジャーナル「たびだち」

最後に講師が、
「ひきこもる生き方も多様な社会の選択肢の一つであり
皆と違っても自分らしく生きていける選択肢を尊重できる社会を」とおっしゃっていたのが印象的でした。

ご本人の真面目さ・優しさなどでひきこもる状態になったことに対しては
まず私たちのひきこもりに対する「甘えている」「怠けている」「自立していない」などのネガティブな価値観を変える必要があることを2回のおはなしを通じて痛感するとともに、
自分を守るためにひきこまざるを得ない状態になっている不寛容な社会・人権意識も本気で変える必要があると思います。

また、8050問題の家族構成が背景にあり、ひきこもりから悲しい事態に展開した事例を2回にわたって紹介くださいました。
こちらについても不安なく生きていける道筋をつけられる仕組みが必要であることを実感。

昭島市では何を提案できるのか、考えてまいります。