昭島駅北口大規模開発:アセスメント条例・法律問題学習会に参加しました

昨日は、昭島巨大物流センターを考える会の第2回学習会に参加しました。

今回のテーマは、アセスメント条例・法律問題について。

◆まず、NPO法人地域づくり工房代表 傘木宏夫さんより
アセスメントと地域の力について以下のおはなしがありました。
(アセスメントとは、開発行為の構想・計画・実施の各段階で、
環境や社会・経済に与える影響を事前に見積り、
適切な配慮(マイナス影響の回避とプラス影響の増進)に寄与すること。
事前配慮の適切さは、開発の影響が及びうる地域社会との十分は情報交流によって担保される。)

①制度(都条例)に基づく手続きを活かした制度アセスをまず最大限に生かす。
②こちらで網羅できない部分は、事業者による自主アセスにより説明責任を果たしてもらう。
③上記2つのアセスで対応できないことやデータ等への不安については、住民が自ら調査する住民アセスを経て対策を働きかける。
以上の三層構造でアセスを捉える必要があることが分かりました。

①の制度アセスについて、
まず、都の環境アセスメントの制度概要はこちらです。
環境アセスメント|東京都環境局 (tokyo.lg.jp)

※上記写真のパンフレット(環境アセスのプロセス図含む)は以下から参照できます。

pamphlet_r2.pdf (tokyo.lg.jp)

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ちょうど一昨日、昭島・生活者ネットワークで、都の環境局ご担当者に同制度概要についてヒアリングを実施。
○同制度は事業の許認可をするものではない。
民間事業者が都に開発計画書を都に提出した時点で、事業段階環境営業評価手続きがスタート
調査計画書環境影響評価書案評価書案に係る見解書環境影響評価書に対して
都民には公示・縦覧の機会を設ける。
○しかし、その際に、意見が事業そのものの反対ではなく、
環境影響評価の項目追加や測定地追加等、環境影響評価に特化した意見でなければくみ上げられない。
○評価書案に係る見解書の公示・縦覧のあとに「都民の意見を聴く会」を都は設けるが、
ここでは環境影響の見地から意見をいいたい都民は15分主張できる等、
制度の大枠とポイントを教えて頂いたところでした。
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傘木先生も、環境アセスは賛成・反対を問うものではなく
何を心配するのか具体的な意見を求めるものであることを指摘した上で、
数が多いから有効ではなく
たった一つの意見であっても、ここに守りたいものがあると根拠やデータが示され、
その
ハードルが高いと採算の関係で事業をあきらめざるをえないことも生じる可能性があることも教えてくださいました。

専門家でない限り、都が有効と受け止める意見を提出することはなかなかに困難です。
一方、事業者による調査計画書がいつ都へ提出され環境アセスがスタートするか分かりません。
開発を気にかけるステークホルダーが連携して学びあい、協働して
有効な意見の提出を目指して早め早めに準備していく必要があります。
今後、傘木さんが考える会さんのアドバイザー的な存在となられるようで、いち昭島市民として心強いです。

その他、以下の道筋を具体的に示して下さいました。
・都条例では公共事業に限定される「配慮書」を住民団体の側から「私たちの配慮書・方法書」として提示、事前に配慮されるべきことを明かにする。
・都条例の評価項目には「交通」がないため、「大気質(大気汚染・騒音・振動等)」に結びつけて
想定している交通量・交通流を明らかにさせ、そこから渋滞・安全・防災などについて想定される問題を意見し、見解(対策)を引き出す。
また、評価項目に「災害」もなく、想定している降雨強度や調節池の規模などの見解を引き出すとともに、雨水浸透工法や調節池の規模や配置により、景観面など、周囲との調和を図らせる。

②の自主アセスについては、
以下を具体的に示してくださいました。
・事業者の説明責任について、具体的な手法を含めて対応を引き出す。
具体的には、ISO14063(環境コミュニケーションに関する規格)に準拠しての手法や、融資元の金融機関を調べ、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点から、どのようなチェックを行うかを説明させる手法がある。
・交通と景観について3DーVRシミュレーションを用いた説明を求めるなど、制度アセスの不十分さを補うシミュレーションを開示させる。

③の住民アセスについては、
焦点を絞り、住民参加型で調査をすることで、住民に現状と計画による影響を実感してもらうことに重点をおく。
例えば神戸市では、行政と住民が協働型で環境調査を実施。そのなかで対話が生まれ画期的な道路設計をした事例があったようです。
他にも大変な調査をやりとげ、それを根拠に訴える過程は地域社会を変える意義もあるとのこと。

以上、ひと口にアセスといっても、様々な手法が展開可能であることが分かりました。

◆次に、日野市旭が丘での物流センター建設反対の住民運動について、鈴木隆雄さんより
ご経験をもとに、様々なご指摘・助言がありました。

・建物の高さへの対応
・交通渋滞、交通事故リスクへの対応
・コンクリートで固められることで雨水が浸透しなくなることでの道路冠水への対応
・電力問題、大型トラックが一般道路に駐停車し交通渋滞を発生させないようなトラックヤード(待機場所)の確保の必要性
・渋滞や温暖化に繋がるドライバーの敷地外のコンビニ利用を防ぐための敷地内での充分な食事・休憩場所の設置必要性
・GLP昭島プロジェクトと住民とのあいだの協議機関の設置と定期的な協議会の開催の必要性
(住民とのコミュニケーションについては、考える会さんがGLP昭島プロジェクトから得た要望への回答書に、現時点でのGLPの考えが示されています。
GLP から回答が届きました (showanomori.info) )
・市役所による説明会の開催の必要性

◆次に、景観条例と地区計画について、考える会共同代表の長谷川博之さんより
GLP開発計画に関わる自然・環境系法規制を国・都レベルで確認なさり、
関係各所へのヒアリング、資料開示請求を通じて課題整理なさった上でのおはなしがありました。

自治体が都市計画法に基づき、地域の特性にふさわしい地区計画を策定すれば
市独自に建物の高さ、壁面規制、道路、公園などの緑地規定など目標設定をできるため
まちづくり方針とも整合させられ、市も指導しややすく有効なのではないかとのこと。
(課題は、住民参加制度がないこと。出来上がった地区計画の情報開示を求め、意見を出すことは可能。)

また、当地の地区計画策定の可能性については、すでに昭島市との懇談のなかで確認をなさっているようです。

昭島市と懇談をしました (showanomori.info)

以上、今回も学習会で多くを学ばせて頂きました。
どうもありがとうございました。

◆今後も2回、学習会の開催予定があるようです。
第2回〜第4回 楽しく学びましょう♫〜学習会のご案内〜 (showanomori.info)

第1回学習会については、以下の通りです。
・考える会さんによる報告(当日配付資料含む)
学習会報告 (showanomori.info)
・林による報告

昭島駅北口大規模開発:交通問題学習会に参加しました | 林まい子 (seikatsusha.me)

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