令和五年度昭島市一般会計予算に対する討論:市民参画・市民協働の一層の推進をしながら地域の力を高めよう

3月28日が3月議会の最終日でした。
一般予算について、以下の討論をいたしましたので、報告いたします。

日程第8議案第7号令和5年度昭島市一般会計予算についてみらいネットワーク会派を代表し、意見を交えながら賛成の立場で討論致します。

ロシアのウクライナ侵攻から1年が経過しました。いまだ収束がみえませんが、武力紛争で命が失われることは決してあってはならないことです。また、人々の日々の健康、生活、安全保障や、環境汚染、自然破壊、生態系への深刻な影響も懸念されます。

日本国憲法では戦争の放棄・戦力の不保持・交戦権の否認からなる平和主義、また、国の利益のみを追求するのではなく、諸外国と友好的に協力し合いながら共存し、軍国主義や大国主義と相対する国際協調主義を掲げていますが、国際平和実現のためにこの平和主義・国際協調主義を日々実践する必要があることを強く実感します。

一方、政府においては昨年末、国際平和における日本の立ち位置を変換させる重要政策であり、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛整備計画からなる安保関連三文書の同時改定を閣議決定しました。歴代政権が戦後一貫して否定してきた敵基地攻撃能力の保有、防衛費の倍増を明記したこの改定に強く反対し撤回を求めます。

防衛費GDP1%から2%への倍増計画については10兆円規模の予算となり、結果として日本は世界第3位の軍事大国となります。これが平和主義・国際協調主義を憲法で掲げる国のありようでしょうか。また、食料やエネルギー価格の高騰など、ウクライナ侵攻の影響は我が国含めた全世界に広がっています。防衛費倍増ではなく、今目の前で苦しむ市民の命と暮らしを守ることにこそ血税を費やすべきです。

そもそも、国民的議論を経ずに重大方針を決めていく姿勢は、民主主義の否定であり、甚だしい国民軽視でもあります。現在の憲法への緊急事態条項創設の動きも、極度の権力集中による政府の権力濫用の危険性とあわせて、人権保障を停止することから、営業の自由や財産権のみならず、表現の自由や報道の自由等、民主主義の根幹をなす人権が大幅に制限される危険性もあることを大変懸念します。

国政がこのような状況であるところ、地方自治体においては、おかしいことについてはおかしいと国にしっかり声をあげていくこと、また市政展開においては市民と対話しながら希望をもってともにすすめる市民参画・市民協働を一層推進することで、市民とともに地域の力を高めるべきです。

昭島市次年度予算については、市長の施政方針演説、教育長の教育施策推進の基本的な考え方、代表質問、一般質問、予算要望への回答、各委員会における質疑などを参考に、先が見通せないことが多い状況であるなかにも、慎重に検討させて頂きました。みらいネットワーク会派としては、予算には賛成するもののいくつかの意見を述べさせていただきます。

まず、横田基地問題については、これまで何度も改善を求めてきましたが、今なおオスプレイの欠陥が原因で緊急着陸や墜落事故が発生しています。加えて低周波の騒音による被害は深刻な状況です。また、C130などの曲技的飛行状態の危険な訓練が市街地上空で繰り返されており、基地内での高高度からのパラシュートパラグライダーによる人員物資投下訓練も頻繁に行われ、誤投下も懸念されています。さらに横田常駐機以外のF35Bなどの戦闘機類が頻繁に横田に飛来し訓練をするなど、町中に爆音をとどろかせています。私たちは、ただ安心して暮らせる最低限の住環境を求めているだけでありますが、改善どころかますますひどい状況になっています。これらを根本的に解決するには、日米地位協定の抜本的な改善なくしてあり得ないと考えます。全国知事会も全会一致で国に日米地位協定の抜本的見直しを求めていることからも、飛行直下で最も被害を受けている昭島市からも地位協定の抜本的見直しを強く発信していかなければならないと改めて指摘します。

あわせて、PFOS・PFOAについては、市民からの不安の声が数多く寄せられています。基地内の土壌検査と水質検査の実施及び公表を関係各所に求めるとともに、市内の調査地点も一箇所でも多く増やし市民不安に答えながら、地下水保全にあたる必要があると考えます。

次に、ウクライナ侵攻やコロナ禍でグローバルエコノミーの脆弱さをつきつけられました。地域経済を強固にすべきことが明白であり、それはエネルギー政策についても同様です。本庁舎で導入している再エネ100%電力及びカーボンニュートラルガスについて、導入施設の拡充を図るとともに、新たな太陽光発電設備等を設置し、創電・蓄電を計画的に進める取り組みを評価します。また、短期的目線ではなく、長期的な目線でエネルギー政策を捉えた場合、再生可能エネルギー利用に力を注ぐことが、持続可能な社会づくりに繋がります。今後の一層の利用推進に期待します。

次に、3月20日に国連機構変動に関する政府間パネルが公表した報告書では、いまのペースで温室効果ガスの排出が続くと排出限度に2030年に達する見込みで、「住みやすく持続可能な未来のための窓は急速に閉ざされている」と警告しました。気候変動対策がまったなしの状況です。地域においても、市民一人ひとりが危機感や当事者意識をもち、行政、市民、事業者が一丸となって対策に取り組む必要があります。市による、積極的な施策展開を評価しますが、目標達成のためには更なる市民参画が不可欠です。基礎自治体として、当事者意識を持つ市民の裾野を拡げる仕組みをつくることが肝要ですが、国内外でも注目されている、無作為抽出で選ばれた市民が自ら考え施策に繋げ行動していく気候市民会議を早急に設立する必要があると考えます。

あわせて、環境対策、健康等福祉対策、建物の高寿命化にも繋がる断熱化を推進すべきです。特に、昨年の夏日に集中して学べる状況になかった学校施設においては、学ぶ環境確保のため早急な取り組みが必要であると考えます。

次に、長年みらいネットワークで訴え続けてきたひきこもり支援について、市民の生活状況に関する調査として実態把握を進めることを評価するとともに、さらに必要な支援に繋げていくことを期待します。一方、ひきこもりになる要因の多くは、社会の不寛容から生じていると考えます。あらゆる施策に人権尊重の視点の横串を確実にいれる必要があると指摘します。

次に、施政方針における「地域全体で子育てを支える社会の実現に向け、市を挙げて、誠心誠意取り組む」との決意表明を評価します。現状においては、子どもの権利侵害が深刻な状況です。そのひとつであるヤングケアラー問題については、未来を担う子どもがケアに疲弊し、勉学をあきらめたり、将来に夢や希望を持てなかったりと豊かな子ども時代を送れない状況を確実に打開すべきであり、取り組みに当たってまず実態調査をすべきと指摘します。他にも、いじめ、不登校、児童虐待、自殺など深刻な課題が山積しますが、直近では旧統一教会など宗教2世の宗教虐待の実態が明らかになりました。子どもの人権救済の仕組みは早急に再整備すべきであり、独立した第三者機関で、子どもの権利視点を徹底してもち課題解決に当たる子どもオンブズパーソンを設置する必要があると指摘します。さらには、国や都の動向を注視するのではなく、市においても、主体的に子どもの権利条例を制定し、それをもとに子どもの権利を守るための施策展開をする必要が今まさにあると考えます。

次に、みらいネットワークが訴えてきた学習支援員の処遇改善については、次年度より会計年度任用職員と有償ボランティアの選択制となったこと、また、学習支援員への研修を本年よりはじめ、次年度継続することを評価します。教育従事者の働きやすさは子どもの学びの保障にも直結します。しかし、予備費もつく事業であるにも関わらず、必要なクラスに配置されていない、あるいは、年度終わりには予算がないとの理由で利用控えがあるなど現場には課題も残ります。関係各所の声を聞き、市ができる支援を継続して検討し、子どもの学ぶ環境を確実に確保すべきと考えます。

次に、政府は従来の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを推進するための関連法案を閣議決定しましたが、本来番号の利用拡大は厳正に判断すべきです。利用範囲を法律で規程し不正な利用を防いでいた仕組みから、今回の法改正により行政機関同士の情報のやりとりがしやすくなる反面、利用拡大の歯止めがかかりにくくなる可能性があることを非常に懸念します。そもそも、マイナンバーカードへの情報集積が進む場合、情報漏洩や監視に繋がり国民に不利益となる懸念をいまだ払拭できません。自治体として国に対し必要な意見をあげるとともに、自治体としては最大限の個人情報保護や情報公開に努め、とくに情報弱者含めた市民への分かりやすい説明が必要であると考えます。あわせて、国や自治体への信頼・市民理解がマイナンバーカード推進の大前提であることも指摘します。

次に、環境コミュニケーションセンターにおける市民へのサービス提供方法の変更については、市民説明と職員説明を徹底する必要があると考えます。そもそも、変更理由が人材確保難である大問題であること、また利用者数に関わらず美堀町という立地における公共サービスの意義を捉え直す必要があることを指摘します。

次に、玉川上水南側地区 地区計画策定等業務支援委託について、広大な緑地が該当地区となり、温暖化対策と真逆の開発計画です。緑地保全、地下水保全、生物多様性の維持、景観、交通問題等々、課題が山積し、自然環境や住環境が激変する可能性が高い計画内容であり、市の各種計画と整合性を持たせる対策のひとつとして、今後地区計画を活かすべきです。また、その過程では市民意見を丁寧に聴取し、市民参画のまちづくりを担保するよう事業者に何度でも働きかける必要があると指摘します。

以上、何点かの意見を述べさせて頂きましたが、今後地方自治の役割はますます重要になります。ボトムアップの提案や対策が欠かせず、地域においては国や都の動向を注視するのではなく、市民に最大限の情報共有と情報公開をし、市民参画の機会を充実させ充分に意見を聞き、市民と行政と市議会が対等な関係で知恵と力をだしあい協働で地方自治を進める必要があると最後に意見として申し上げ、本予算に対する賛成討論といたします。